静岡市全体で首都圏への人口流出が課題となる中、実は駿河区だけが人口を微増させているという事実をご存知でしょうか。その駿河区で最も活気あふれる繁華街を盛り上げているのが、「静岡市駅南の会」を率いる伊藤知行さんです。
JR静岡駅の南側一帯、通称「駅南(えきなん)」は、地上を歩いてダイレクトに街へ出られる利便性が大きな特徴と言えます。このアクセスの良さが、開発が進む北側とはまた異なる独自の進化を遂げ、地域に新たな活力をもたらしているのでしょう。
かつて首都圏の金融機関で活躍していた伊藤さんは、2001年に父が経営する建設会社を継承するため、愛する故郷の静岡市へ帰郷されました。2007年には駅南地区へと移り住み、生活者としての視点からこの街のポテンシャルを肌で感じてきたそうです。
元来の外食好きが高じて周辺の店を巡るうちに、伊藤さんは「安くて美味しい」名店の多さに驚愕したといいます。この隠れた魅力を埋もれさせておくのは惜しいと考え、2017年からSNSを通じた積極的な情報発信を開始されました。
SNSから生まれた絆!「駅南グルメマップ」が繋ぐ地域と観光客の輪
共に活動する海野勝人さんと二人三脚で、これまで2年間で100軒以上もの店舗を取材し、1投稿につき500件を超えるアクセスを記録しています。SNS上では「こんな店があったのか」「親近感が湧く」といった好意的な反響が続々と寄せられました。
2019年05月には、その集大成として「駅南グルメマップ」を刊行し、チェーン店に頼らない地域密着型の48店舗を厳選して紹介しています。これは単なる案内図ではなく、地元の誇りが詰まった珠玉の一冊として、今やホテルや展示場にも設置されています。
この活動は予想外の広がりを見せ、地元の小学校のバザーや商店街の祭りでも、飲食ブースの出展を依頼されるようになりました。今では志を同じくするメンバーも7、8名に増え、地域コミュニティの核として確かな存在感を放っています。
統計に目を向けると、2009年12月に20万9900人だった駿河区の人口は、2019年12月現在で21万700人へと増加しました。他区が減少に転じる中でこの数字を維持できているのは、若年層が住みやすい環境が整っているからでしょう。
味も人も大切にする街づくり!次世代へつなぐコンパクトシティーの未来
伊藤さんは、住居と商業施設、さらには公共機関が徒歩圏内に凝縮された「コンパクトシティー」としての機能が人を惹きつけると分析されています。生活に必要な要素が1か所に集まる効率の良さが、忙しい現代人のニーズに合致したに違いありません。
「本当に洗練されたグルメなら都会には勝てないかもしれないが、ここには味と人の温かさがある」と伊藤さんは熱く語ります。単に消費を促すだけでなく、店主と客の心の交流こそが、駅南の真の価値であると私は確信しています。
今後は写真コンテストやマルシェの開催に加え、不動産や求人情報の提供といった、より生活に密着した活動も視野に入れているそうです。地域の「知らない魅力」を掘り起こす彼の挑戦は、地方創生の理想的なモデルケースとなるでしょう。
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