2019年12月02日、アジアの経済発展を支える大動脈、アジア開発銀行(ADB)の次期総裁に浅川雅嗣氏が選出されたことが大きな話題を呼んでいます。日本政府が唯一の候補として擁立した浅川氏は、加盟している68の国と地域から全会一致という圧倒的な支持を得て、その手腕を託されることになりました。現職の中尾武彦氏からバトンを受け継ぎ、2020年01月17日に第10代総裁として正式に就任する予定です。
浅川氏は財務省において、国際金融の司令塔である「財務官」を歴代最長の約4年にわたり務め上げた、まさに国際金融界のレジェンドといえる存在でしょう。デジタル経済への課税ルール作りを主導するなど、その実力は世界中の要人から高く評価されています。SNS上では「これほどの実務家なら安心だ」「国際社会での日本の存在感を示してほしい」といった、期待に満ちた声が数多く寄せられており、国内外からの注目度の高さがうかがえます。
「麻生氏の懐刀」が挑む国際政治の難局
今回の人選を強力に後押ししたのは麻生太郎財務相であり、浅川氏はかつての麻生政権下で首相秘書官としてリーマン・ショックの荒波を乗り越えた経験を持ちます。まさに「阿吽の呼吸」で国際金融問題に立ち向かってきた実績は、今後のADB運営においても大きな武器になるはずです。ADB内部からも、浅川氏の寛容で誠実な人柄を歓迎する声が上がっており、多国籍なスタッフをまとめるリーダーシップにも死角は見当たりません。
しかし、新総裁を待ち受ける道のりは決して平坦ではないでしょう。最大の焦点は、巨大経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国との距離感です。中国は自ら主導してアジアインフラ投資銀行(AIIB)を設立し、インフラ融資の分野で急速に存在感を高めています。出資比率でトップを走る日米と、3位の主要株主でありながらライバル関係にもある中国の間で、浅川氏がどのようなバランス外交を展開するのか、世界がその一挙手一投足に注目しています。
特に懸念されているのが、融資を受けた国が返済困難に陥り、権益を譲渡せざるを得なくなる「債務の罠」という問題です。2017年にはスリランカの要衝である港の運営権が中国側に渡った例もあり、日米などは安全保障の観点から警戒を強めています。また、世界第2位の経済大国となった中国に対し、依然としてADBが融資を継続していることへの批判も根強く、浅川氏には極めて高度な舵取りが求められるでしょう。
アジアのインフラ需要は膨大であり、浅川氏は当面、AIIBとの協調融資を継続する現実的な路線を歩むとみられます。経済的な合理性と国際政治のパワーバランスをどう両立させるのか、私は彼の「しなやかな強さ」に期待しています。単なる融資機関を超え、アジアの真の安定をもたらす機関へと進化させられるか、浅川新総裁の就任がアジアの未来を左右する重要なターニングポイントになることは間違いありません。
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