カリブ海に浮かぶ社会主義の島国キューバで、国家の在り方を大きく変える歴史的な転換点が訪れました。2019年12月21日、キューバの人民権力全国会議(国会)において、長らく空位となっていた首相の座に、マヌエル・マレロ氏が任命されたのです。
マレロ氏は現在56歳で、これまで観光相として同国の外貨獲得の柱である観光業を牽引してきた人物です。今回の人事により、彼は5年間の任期を務めることとなります。1976年に廃止されて以来、実に43年ぶりとなる首相職の復活は、同国にとって極めて象徴的な出来事といえるでしょう。
この首相職は、2019年に行われた憲法改正によって新たに創設されたポストです。同年10月に大統領に就任したばかりのミゲル・ディアスカネル氏(59歳)を、実務面から強力にバックアップする役割を担います。国家元首と政務を分担することで、統治体制の効率化を図る狙いが見て取れます。
観光のエキスパートが舵を取る「実務重視」の新体制
今回、政治の表舞台に立ったマレロ氏は、軍出身でありながら観光分野で長年手腕を振るってきました。首相が政府の日常業務や行政の管理を司る「行政の長」であることを踏まえれば、実利を追求するビジネス感覚に優れた彼が選ばれたのは、非常に現実的な選択だったと評価できるはずです。
SNS上では、このニュースに対して「キューバの近代化が加速するのではないか」といった期待の声が上がる一方で、「一党独裁体制の中での役割分担がどこまで機能するのか」といった慎重な意見も散見されます。未知の二頭体制がどのように機能するのか、世界中の専門家が熱い視線を注いでいます。
私個人の見解としては、観光相という「外の世界」を知る人物をナンバー2に据えたことに、キューバの切実な危機感と変革への意志を感じます。経済制裁や外貨不足に悩む現状を打破するには、従来の教条的な政治ではなく、マレロ氏のような柔軟な実務能力が不可欠だったのではないでしょうか。
これまでのキューバは、カリスマ的な指導者に権力が集中する傾向にありましたが、今後は制度に基づいた分権的な統治へとシフトしていくことが予想されます。2019年12月23日現在の情勢を見れば、この新たな布陣が同国の経済再建に向けた最強の切り札となることを願わずにはいられません。
コメント