北海道の重工業を支える日本製鋼所の室蘭製作所が、今まさに劇的な変革の時を迎えています。同社はかつて原子炉圧力容器や火力発電用タービンで世界的なシェアを誇っていましたが、近年のエネルギーシフトの影響により受注が減少していました。そこで新たな柱として期待されているのが、水素エネルギーと航空機産業という2つの最先端分野なのです。
2019年12月26日現在の状況によりますと、室蘭製作所では2020年にも水素ステーション向けの蓄圧器や水素タンクの量産を開始する予定です。東京五輪を目前に控え、公共交通機関や大手企業からの引き合いが急増しており、2019年だけでも既に50個以上の注文が舞い込むなど、クリーンエネルギーへの関心の高さが伺えます。
鋼材のプロが実現する「安全な水素社会」への技術力
水素事業における同社の強みは、金属が水素を吸収して脆くなる「水素脆化(ぜいか)」を防ぐ卓越した技術にあります。本来、水素は扱いが難しい物質ですが、日本製鋼所のタンクは常温かつ低圧での運搬を可能にしました。これにより、消防法上の危険物に該当しない極めて高い安全性を実現しており、ハウステンボスなどの施設でも既に採用が進んでいます。
SNS上では「地元の誇りである室蘭の技術が、次世代エネルギーを支えるのは感慨深い」「安全性が高い水素タンクなら普及が早まりそう」といった期待の声が多く寄せられています。伝統的な「鉄の街」で培われた素材技術が、目に見えない水素という新エネルギーを制御する鍵となっている点は、非常にドラマチックな展開だと言えるでしょう。
航空機部品への参入と室蘭製作所の組織改革
2017年に参入した航空分野でも大きな進展がありました。2020年夏には、長さ8メートルを超える大型の翼部品を納入する予定です。航空機部品は品質管理が非常に厳しく、参入障壁が高い「空の精密産業」ですが、同社は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの新素材を用いた製造技術を磨き、防衛省向けから大型機体部品へと着実に領域を広げています。
また、2020年4月には室蘭製作所の事業分社化が予定されており、地域の関連会社と統合することで経営の効率化を加速させます。伝統に固執せず、時代のニーズに合わせて柔軟に姿を変える日本製鋼所の姿勢は、日本の製造業が生き残るための重要な指針となるはずです。かつての主力製品に代わる新たな「室蘭ブランド」の確立に、今後も目が離せません。
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