夏目漱石もニヤリ!明治の型破り雑誌『ニコニコ』と現代のSNSに続く笑顔のバズり法則

現代のSNSでは、日々多くの写真や言葉が拡散され、人々の感情を動かしています。そんな中、ネット上では「100年以上前にも、現代のタイムラインそっくりの熱量を持ったメディアがあった」と、ある古書が大きな注目を集めています。その主役こそが、明治44年2月に創刊された型破りな月刊誌『ニコニコ』です。

この雑誌の最大の特徴は、誌名の通り「登場人物が全員笑顔」である点にあります。当時の写真は、現代と違って非常に緊張して撮影するのが一般的でした。特に女性や名士たちが白い歯を見せて明朗に笑う姿は、当時としては極めて異例で、画期的な試みだったのです。大隈重信や渋沢栄一といった歴史的偉人たちが、福々しい笑顔を浮かべるグラビアは圧巻の一言に尽きます。

さらに驚くべきは、あの文豪・夏目漱石の「唯一の笑顔の写真」が掲載されている点です。取材に対して最初は「笑わないといけないのか」と渋っていた漱石ですが、後日送られてきた写真では、唇の端を歪ませた皮肉っぽい笑みを浮かべていました。このエピソードに対し、SNS上では「漱石のツンデレな対応が愛おしすぎる」「今も昔も、編集者とライターの攻防は変わらない」と、親近感を抱く声が続出しています。

単なる写真集にとどまらず、読み物も非常に豪華でした。大正6年新年号の特集「新年の追憶」では、与謝野晶子や高浜虚子といった早々たるメンバーが正月の思い出を語っています。渋沢栄一が12歳の元日に、歩きスマホならぬ「歩き読書」をして泥ドブに落ち、母親に激怒されたというエピソードなどは、現代のバラエティ番組を見ているかのような生々しい面白さです。

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現代のSNSに通じる読者コミュニティの熱量

また、誌面に届いた名士たちの年賀状を紹介するコーナーもユニークです。社会主義者の堺利彦が「新年もいつも通り労働と不平の生活を送るから、お祝いの言葉は言わない」とシュールな挨拶を寄せれば、正宗白鳥は「田舎の家族もみんな愛読している」と絶賛の声を送っています。これらはまさに、現代の著名人が発信するSNSの短尺投稿そのものと言えるでしょう。

巻末の読者投稿欄「ニコニコポスト」では、切手や絵葉書の交換希望、熱いメッセージがひしめき合っていました。インターネットがない時代に、雑誌を通じて見ず知らずの読者同士が繋がり、独自のコミュニティを形成していたのです。この熱量に対してネット上では、「これって完全に明治・大正時代のツイッター(現X)だ」「人間のつながりたい欲求は昔から同じなんだ」と驚きを隠せないコメントが多く寄せられています。

この魅力的な雑誌を主宰したのが、不動貯金銀行の頭取であった牧野元次郎です。彼は「ニコニコ主義」を唱え、毎朝夕に「腹を立てない」「人の悪口を言わない」といった五カ条を唱えることを推奨しました。笑顔で暮らせば健康になり、商売も繁盛するという、ポジティブ心理学の先駆けのような思想です。そして彼は、笑顔で稼いだお金を強制的に貯蓄させる「ニコニコ貯金」という定期積金(毎月一定額を積み立てる預金商品)を考案し、大ヒットさせました。

情報が溢れ、時に殺伐としがちな現代のインターネット社会において、この「ニコニコ主義」は新鮮な一石を投じています。他者を攻撃する言葉ではなく、ユーモアと笑顔で繋がることの大切さを、100年前のメディアが教えてくれている気がしてなりません。タイムラインを暗いニュースが埋め尽くす時こそ、私たちは画面の向こうへ向けて、漱石のようなニヤリとしたニヒルな笑顔だけでも返せる心の余裕を持ちたいものです。

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