2019年11月29日、古都・京都の地で一つの重要な司法判断が下されました。拡声器を使い、特定の学校を根拠なく中傷する「ヘイトスピーチ」を行ったとして、名誉毀損の罪に問われていた「在日特権を許さない市民の会(在特会)」の元幹部、西村斉被告に対し、京都地方裁判所は罰金50万円の有罪判決を言い渡したのです。
裁判の争点は、被告が発した「朝鮮学校は日本人を拉致した」などの言葉が、表現の自由の範囲内か、あるいは学校の社会的評価を不当に貶める犯罪行為にあたるかという点でした。SNS上では「ヘイトが犯罪と認められたのは前進だ」という声がある一方で、判決の重さや表現の自由を巡る議論が激しく交わされ、大きな注目を集めています。
インターネット配信の波及効果が重く見られた判決
柴山智裁判長は、被告が拡声器を用いて執拗に発言を繰り返したこと、さらにその様子をインターネット上でライブ配信した行為を重く受け止めました。ネット配信は情報の拡散力が非常に強く、一度流布されれば被害の回復が困難になるという性質を持っています。このデジタル時代の特性が、刑事責任を認める大きな要因となったことは間違いありません。
ここで言う「名誉毀損(めいよきそん)」とは、公の場で具体的な事実を挙げて、他人の社会的評価を傷つける行為を指します。2017年04月23日に京都市内で行われた一連の言動は、教育機関としての学校運営を著しく妨げるものと判断されました。しかし、判決では「公益目的」もあったとして、検察側の懲役1年6月の求刑に対し、罰金刑に留まっています。
編集者の視点:言葉の暴力が奪う「学び舎」の平穏
私個人としては、今回の判決はヘイトスピーチという「言葉の暴力」に一定の歯止めをかける意義があると感じます。学校側弁護団が指摘するように、何の罪もない子供たちが学ぶ場所の近くで、これほど激しい言葉が浴びせられる恐怖は察するに余りあります。誰かを批判する権利はあっても、それが個人の尊厳を破壊する免罪符にはなり得ないはずです。
一方で、被告側は「表現の自由が萎縮する」として控訴の構えを見せています。たしかに、何を語るかという自由は民主主義の根幹ですが、それは「事実に基づかない誹謗中傷」までをも保証するものではないでしょう。2019年11月29日のこの判決が、今後の日本社会における言論のあり方と、他者への寛容さを考え直す重要な転換点になることを願ってやみません。
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