世界中が熱い視線を注ぐ、地球上で最もエキサイティングなデジタル技術の祭典「CES」が、いよいよ2020年1月7日からアメリカのラスベガスで幕を開けます。SNS上でも「今年のCESはアツすぎる」「いよいよ未来が現実になる」といった興奮の声が溢れており、世界中のテクノロジーファンが現地からの速報を今か今かと待ちわびている状況です。
2020年の見本市における最大の主役は、次世代の超高速通信規格である「5G」と、日々進化を遂げる「人工知能(AI)」で間違いありません。これらの最先端技術は、単なるデジタルガジェットの域を超え、あらゆる産業の仕組みを根底からガラリと変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を強力に推し進める原動力となっています。
ここで耳にする「デジタルトランスフォーメーション」とは、データや最新のデジタル技術を駆使して、企業のビジネスモデルや人々の生活をより良いものへと変革させるアプローチを指します。もはやIT企業だけでなく、地球上のすべてのビジネスパーソンにとって、避けては通れない最重要課題と言えるでしょう。
家電から未来の社会インフラへ!劇的な進化を遂げるCESの歴史
この見本市は1967年に始まった当初、最先端のテレビなどをお披露目する「家電展示会」としての色彩が非常に強いイベントでした。しかし、時代の移り変わりとともにパソコンやスマートフォンが普及すると、主役の座はIT業界の巨人たちへとシフトしていきます。1990年代から2000年代にかけては、米マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏が毎年のように基調講演のトップバッターを務め、世界に衝撃を与え続けました。
出展企業は年々増加しており、2019年には4400社を超える企業が集結し、なんと17万5000人もの人々が来場して会場は大熱気に包まれました。2020年もその勢いは衰えず、約4500社もの出展が見込まれています。本番の幕開けに先駆けて、2020年1月5日と2020年1月6日には、日本の誇るトヨタ自動車やソニー、さらには韓国のサムスン電子といった世界的メガ企業が、こぞって重要な記者会見や講演を行う予定です。
空飛ぶクルマにGAFAの激突!2020年の見どころを一挙紹介
2020年のCESが網羅するテクノロジーの領域は、自動車やロボット工学、さらにはデジタル通貨にいたるまで、実に11もの広大な分野に及んでいます。なかでもモビリティー分野の進化は凄まじく、日本のトヨタや日産、ホンダはもちろん、欧米のフィアット・クライスラー・オートモリビズや独アウディなどが、未来の自動運転技術を競い合います。驚くべきことに、韓国の現代自動車は「空飛ぶクルマ」のコンセプト発表を予告しており、まさにSF映画の世界がすぐそこまで迫っている実感を抱かせます。
さらに、世界中が固唾をのんで見守っているのが、約30年ぶりの正式参加となる米アップルの動向です。同社がCESの舞台に帰ってくるのは1992年以来のことで、SNSでは「ついにアップルが動いた!」と大きなお祭り騒ぎになっています。今回は新製品の発表こそないものの、米フェイスブックのプライバシー責任者とアップルの幹部が、個人情報保護をテーマに激しい議論を交わす予定です。
インターネットにさまざまなモノをつなぐ「IoT」が普及した現代において、個人のプライバシーをいかに守るかは非常に深刻なテーマです。膨大な顧客データを握る巨大IT企業への社会的な風当たりが強まる中、世界最高峰の舞台で自社の安全性をアピールしようとする思惑が透けて見えます。GAFAの一角である米グーグルや米アマゾン・ドット・コムも、AIスピーカーを引っ提げて前年に続き大々的に出展するため、水面下の覇権争いは一層激化するでしょう。
航空会社が歴史的登壇!すべての産業を飲み込むテクノロジーの波
米中貿易摩擦の影がパラパラとちらつくなかでも、中国からは新進気鋭の電気自動車スタートアップであるバイトンや、家電大手のハイセンス、ハイアール、そして米国の制裁下にある華為技術(ファーウェイ)グループも果敢に出展を予定しています。しかし、今年のCESで最も驚くべき異業種からの参入は、アメリカのデルタ航空でトップを務めるエド・バスティアン最高経営責任者(CEO)の基調講演かもしれません。半世紀以上の歴史を誇るCESにおいて、航空会社のトップがこの大役に選ばれたのは前代未聞の出来事です。
昨今では、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の技術が目覚ましく発展したことで、自宅にいながら世界中の絶景を3次元映像でリアルに体験できるようになりました。これは旅の概念を揺るがす事態であり、旅行業界もまた、テクノロジーの進化という荒波に直面しています。バスティアンCEOは「旅の体験そのものを変革する技術を提示する」と意気込んでおり、従来の枠組みを超えたイノベーションが期待されます。
私たちは今、デジタル技術が既存のあらゆる既得権益や産業の壁を軽々と飲み込んでいく、歴史的な大転換期を目撃しています。今回、筆者がこのCES2020の動向を追いかけて強く感じるのは、もはや「ITに関係のない企業など地球上に存在しない」という冷徹な現実です。世界を牽引する主要産業が、テクノロジーという強力な触媒を得て、どのような素晴らしい未来を創り出すのか。この見本市は、私たちの未来のライフスタイルを占う最高の試金石になるに違いありません。
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