日本酒ファンの間で聖地とも呼ばれる福島県から、酒造りの未来を塗り替える素晴らしいニュースが飛び込んできました。福島県が実に15年もの歳月を費やして情熱を注ぎ、独自に開発を進めてきた日本酒専用の酒米が、ついに完成を迎えたのです。注目の集まっていたその新品種の名前は「福乃香(ふくのか)」に決定したことが、2020年01月15日に発表されました。
全国新酒鑑評会という、日本酒の出来栄えや技術力を競う最高峰の舞台において、福島県は7年連続で都道府県別の金賞受賞数日本一という偉業を成し遂げています。すでに確固たる地位を築いている同県ですが、独自の酒米を手に入れたことで、そのブランド力はさらに強固なものになるでしょう。今回の「福乃香」の誕生は、福島産の日本酒をより高みへと押し上げる起爆剤になるに違いありません。
この「福乃香」には、おいしいお酒を造るための秘密が隠されています。専門用語で「心白(しんぱく)」と呼ばれるコメの中心部分が、従来の酒米に比べて非常に大きいという特徴を持っているのです。心白とは、デンプン質が豊富で隙間が多く、お酒の雑味となる成分が少ない部分を指します。ここが大きいことで水分をしっかりと吸収し、お酒の味を左右するこうじ菌が繁殖しやすくなります。
こうじ菌が元気に育つことで、華やかな香りとすっきりした味わいが特徴の「吟醸酒(ぎんじょうしゅ)」などを仕込むのに最適な性質を誇ります。吟醸酒とは、お米を贅沢に削り、低い温度でじっくりと発酵させる非常に手間暇がかかった高級酒のことです。SNS上でも「福乃香で醸されたお酒を早く飲んでみたい」「福島がさらに日本酒王国になる」といった、期待に満ちた声が溢れかえっています。
名付けにあたっては、2019年08月に広く一般公募が実施され、全国から約1200件もの愛あるアイデアが寄せられました。その中から選び抜かれたこの名前には、非常に温かいメッセージが込められています。2019年12月に開催された記者会見の席で、福島県の内堀雅雄知事は「このお酒を口にしたすべての人に、豊かな幸福が訪れてほしいという願いが込められている」と笑顔で語りました。
編集部としても、この「福乃香」が福島の酒造りに新たな風を吹き込むと確信しています。地元の気候と技術に寄り添った専用米があるからこそ、表現できる究極のテロワール(土地の個性)があるはずです。ただでさえ評価の高い福島の日本酒が、ここからさらにどんな進化を遂げるのか、胸の高鳴りが抑えられません。日本酒の歴史が動く瞬間を、私たちは目撃しているのかもしれません。
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