2019年はウィーカンパニーの動向といったスタートアップに関するネガティブな報道が目立ち、世界的な景気減速への懸念も重なりました。そのため2020年のスタートアップを取り巻く先行きを不安視する声も一部で上がっています。しかし、独自の尖った技術を持つ人工知能(AI)分野のトップ企業に目を向けると、非常に明るい兆しが見えてくるのです。
米国の有力調査会社であるCBインサイツは、3000社以上の候補の中から、特許活動や投資家の顔ぶれ、市場の将来性などを厳密に分析しました。その結果、18業界から選出された有望なAIスタートアップ100社「AI100」を発表したのです。SNS上でも「これからの時代を引っ張る企業リストだ」「投資の参考にしたい」と大きな注目を集めています。
この「AI100」に選ばれた企業たちの勢いは本物です。発表されて以降、すでに7社が大企業に買収され、4社が企業価値10億ドル以上の未上場企業を指す「ユニコーン企業」へと急成長を遂げました。さらに、米マイクロソフトや米オラクルといった世界的な巨大IT企業と戦略的提携を結ぶケースも相次いでおり、次世代の産業基盤としての頭角を現しています。
特に注目すべきは自動運転分野における買収劇でしょう。2019年12月10日時点で、アップルが自動運転シャトルを手がけるドライブ・エーアイを買収して優秀な人材を確保したほか、ウーバーやテスラもAI技術を持つスタートアップを傘下に収めました。最先端の技術や人材を囲い込もうとする巨大企業の動きからは、AIが未来の競争力の源泉であることが分かります。
また、急成長するユニコーン企業の中でも、中国のホライズン・ロボティクスは自動運転やスマートシティー向けの「エッジAI半導体」開発で注目されています。これは通信を介さず端末側で素早くデータ処理を行うAI技術のことです。同社は2019年2月に6億ドルを調達しました。ネット上のファンからは「技術の社会実装が早すぎる」と驚きの声が上がっています。
セキュリティ分野では、米シェイプセキュリティーが2019年9月に資金調達を行い、企業価値が10億ドルを突破しました。同社はAIを活用し、アプリへのアクセスが正規の顧客かハッカーのなりすましかを瞬時に識別する技術を持っています。サイバー攻撃が巧妙化する現代において、同社のようなAIによる高度な防犯技術は必要不可欠と言えるでしょう。
資金調達の規模も桁違いです。2019年2月以降、「AI100」のうち48社が実施した資金調達の総額は49億ドルに迫ります。一度に1億ドル以上を集める「メガラウンド」を達成した企業も10社にのぼりました。この圧倒的な資金力を見れば、世界中の投資家がAIの未来にいかに強い期待を寄せ、巨額のマネーを投じているかが一目瞭然です。
さらに、英グラフコアがマイクロソフトのクラウド上でAIプロセッサーを展開する提携を発表したほか、定型業務を自動化するRPA大手の米ユーアイパスはデロイトと協業を始めました。このように大企業との強力なパートナーシップによって、AI技術の普及はさらに加速するでしょう。これらは、AIが実験室を飛び出し、実社会に深く浸透している証拠です。
新製品の投入も活発です。米セレブラス・システムズによる超大型AIチップの発売や、カナダのエレメントAIによる文書読み込みツールのリリースなど、各社が実用的なサービスを競うように開始しています。個人的には、投資家が機械学習を用いて予測モデルを作れるツールの登場など、金融とAIの融合がビジネスをどう変えるか非常にワクワクします。
一部のネガティブなニュースに惑わされて、スタートアップ全体の成長が止まったと考えるのは早計です。この「AI100」が示す圧倒的な資金力、技術革新、そして大企業を巻き込んだ巻き返しを見れば、AI市場の未来がどれほど明るいかは疑いようがありません。私たちの生活やビジネスを劇的に変えるイノベーションは、まさに今、彼らの手によって起こされているのです。
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