日本の株式市場に、今までにない大きな変化の波が押し寄せています。東京証券取引所が2020年1月10日に発表した2019年年間の投資部門別売買動向によると、一般企業を指す「事業法人」の株買越額が4兆2000億円に達し、過去最高を記録しました。この買越とは、ある期間中に買演した総額が売却した総額を上回る状態を意味します。これまで市場を牽引してきた海外の投資家や個人投資家が売り越す中で、国内企業による積極的な買いが相場を下支えする頼もしい存在となっているのです。
今回の記録的な買い越しを後押しした最大の要因が、企業による「自社株買い」の急増です。自社株買いとは、企業が自らの資金を使って市場から自社の株式を買い戻す行為を指します。これを行うことで、市場に流通する株数が減り、1株あたりの価値や資本効率を高められるため、株主への強力な利益還元策として注目されてきました。SNS上でも「日本企業がようやく本気で株主を重視し始めた」「現金を眠らせずに有効活用する姿勢は評価できる」といった、好意的な意見が数多く投稿されています。
また、今回のデータからは日本銀行による異次元の金融緩和策の影響も色濃く浮き彫りになりました。日銀は2019年の1年間で、上場投資信託(ETF)を4兆4000億円も買い入れています。ETFとは、日経平均株価などの特定の指数に連動するように作られた、証券取引所で誰もが取引できる投資信託のことです。この日銀による大規模な下支えと、企業の防衛的な自社株買いという2つの巨大な資金が合流したことで、相場が大きく崩れるリスクを未然に防いだと言えるでしょう。
一方で、本来なら市場の主役であるはずの個人投資家や外国人投資家の動きは鈍いものでした。2019年の通年では、海外投資家が8000億円の売り越し、個人投資家に至っては4兆3000億円もの売り越しを記録しています。日銀や企業が株価を支えた結果、値動きが穏やかになりすぎたため、価格の乱高下から利益を狙うネットトレーダーたちの出番が減少してしまいました。個人の売買代金が207兆円と、2012年以来7年ぶりの低水準に落ち込んだのもそれが理由です。
しかし、ゴールドマン・サックス証券の分析によれば、主要500社のうち自社株買いに踏み切っているのは、まだ3割程度に過ぎないそうです。これは裏を返せば、日本の株式市場にはまだまだ株価を押し上げる余力がたっぷりと残されていることを意味します。大阪取引所のデータでは、日経225先物における外国人の取引比率が83.5%と非常に高い水準を維持しており、海外勢が日本市場を無視しているわけではないことが分かります。10月以降は海外勢も買い戻しに動いており、トレンド転換の兆しが見えています。
今回の動きに対して、私は日本企業の経営姿勢が健全な方向へアップデートされていると確信しています。これまで日本の企業は現金を貯め込みすぎだと批判されがちでしたが、資本効率を意識して株主に報いる姿勢は、中長期的な株価の上昇に必ず寄与するはずです。目先の値動きの小ささに一喜一憂するのではなく、企業の基礎体力が向上している今こそ、日本の株式市場の未来に大いに期待を寄せるべきではないでしょうか。今後もこの旺盛な企業買いが、市場を明るく照らし続けるでしょう。
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