2019年6月25日、大阪市内で開催された大和ハウス工業の定時株主総会では、相次いで発覚した不祥事が最大の焦点となりました。芳井敬一社長は、冒頭で「多大なるご迷惑とご心配をおかけしたことを深くおわびする。信頼回復に全力を挙げる」と述べ、一連の問題について株主の皆様に心から謝罪いたしました。同社は、賃貸アパートと戸建て住宅における不適切な柱や基礎の使用問題、さらには中国の持分法適用会社で発生した横領事件という、企業の根幹を揺るがす二つの重大な問題に直面しているのです。
特に、不適切な住宅の問題は深刻さを増しており、国の認定を受けていない柱や基礎を用いた賃貸アパートや戸建て住宅が、同年4月の発表から倍増し、約4000棟にまで膨らんでいることが6月18日に公表されました。これを受け、芳井社長は、不適切な住宅が発生した原因について、本社と事業所の間での「コミュニケーション不足とチェック体制の不備があった」と説明しています。また、中国で発生した横領事件に関しては、第三者委員会の報告に基づいて、横領が起きた「会社を適切にコントロールできなかった」との認識を示しました。いずれの問題についても、「再発防止策とガバナンス(企業統治)強化を徹底していく」と、強く決意を表明しています。ガバナンスとは、企業が公正かつ効率的に運営されるための仕組みのことで、今回の問題ではその機能不全が問われた形です。
株主総会では、やはり不祥事に関する質問が相次ぎました。不適切住宅の問題については、「悪い情報が経営陣に伝わる企業風土になっていないのではないか」という、企業体質を厳しく問う声や、「ブランド価値が毀損し、賃料が下がったり退去者が出たりしたら、会社としてどのように対応するのか」といった、今後の事業への影響を懸念する声が上がりました。さらに、中国の横領事件に対しては、「監査役に責任はないのか」という意見も出されました。監査役とは、取締役の職務の執行を監査する役職で、法令や定款に違反していないかをチェックする重要な役割を担っています。株主の皆様の厳しい視線が、同社の法令遵守体制、コンプライアンス(法令順守)体制の不備に集中していることがうかがえます。
大和ハウス工業は、外部調査委員会から法令順守体制の不備などを指摘されたことを受け、社長直轄の法令順守部門を新設するなど、すでに具体的な再発防止策を打ち出しています。また、相次ぐ不祥事の責任を明確にするため、社外取締役を除く16人の取締役に支給する2019年度の賞与総額を、当初予定の10億4500万円から2割減額し、8億3600万円とする議案などが可決されました。この減額措置は、経営陣が今回の事態を重く受け止めていることの表れだと言えるでしょう。
SNS上でも、「大和ハウスの信頼回復は並大抵ではない」「住宅は一生ものなのに不安すぎる」「経営陣の刷新が必要では」といった、企業に対する厳しい意見が多く見受けられます。一方で、「謝罪だけでなく、具体的な行動と結果を見せてほしい」と、今後の取り組みに期待を寄せる声もあります。私見ではありますが、企業が信頼を失うのは一瞬ですが、回復には長い時間と地道な努力が必要です。今回の事態を単なるトラブルとしてではなく、企業体質そのものを変革する契機と捉え、経営層が一丸となって取り組んでいく姿勢が強く求められています。
総会の最後に、代表権を返上し、最高経営責任者(CEO)を退任する樋口武男会長があいさつされました。樋口会長は、長きにわたる支援に感謝の意を述べるとともに、今後は人材育成に力を入れる意向を示されました。なお、退任の理由については、ご自身の高齢を挙げており、不祥事に伴う引責ではないことを否定されています。大和ハウス工業にとって、今回の株主総会は、失われた信頼を回復し、新たな一歩を踏み出すための重要な節目となるに違いありません。今後の同社の取り組みに注目が集まるでしょう。
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