いま、従来の野球やサッカーとは一線を画す新しい競技が、日本の若者たちの間で爆発的な盛り上がりを見せています。それらは「ベンチャースポーツ」と呼ばれ、楽しさを最優先したユニークなルールが特徴です。競技としての歴史が浅いため、誰もが日本代表を目指せる新旧交代の早さや、高い戦略性が10代から20代を魅了しています。単なるお遊びと侮るなかれ、その奥深さにハマる人が続出しているのです。
インターネット上でもこの熱狂は凄まじく、SNSでは「マイナースポーツだと思って見たら予想以上に激しい」「初心者でも一瞬で夢中になれる」といった声が溢れています。このベンチャースポーツという言葉は、まだ広く知られていない新しいスポーツ全般を指す専門用語です。ベンチャー企業のように、既存の枠組みに捉われない革新的なアイデアやルールが盛り込まれており、参加者全員が主体となって競技を作り上げていく面白さがあります。
魔法の世界から現実へ!空を飛ばない「クィディッチ」の衝撃
世界中で愛される小説『ハリー・ポッター』に登場する架空の競技を、現実の陸上スポーツに落とし込んだのが「クィディッチ」です。2020年01月27日現在、この一見奇妙なスポーツに本気で取り組む若者が急増しています。ルールは非常に独特で、選手たちはホウキに見立てた棒を常に股に挟んだ状態で走り回り、相手のゴールにボールを投げ入れなければなりません。さらに、試合を妨害するためだけの専用ボールが存在します。
25歳の原田匠馬さんも、最初は軽い気持ちで始めた一人ですが、その難度と戦略性の高さに驚いたと語ります。小柄な女性が2メートルの大男を妨害ボールで仕留める番狂わせも日常茶飯事です。2005年にアメリカの大学生が二日酔い対策として考案したユニークな歴史を持ちますが、今や世界40カ国以上に普及しました。日本でも2017年頃からチームが増加しており、2020年07月には米国で開催される第5回ワールドカップへの初参戦を控えています。
魔球が唸る!SNSで話題沸騰の「キャップ野球」とは
もう一つ、高校生や大学生を熱狂させているのが「キャップ野球」です。これはペットボトルのキャップを指ではじいて投げ、プラスチック製のバットで打ち返す競技になります。キャップは非常に軽いため空気抵抗を受けやすく、驚くほどの変化球を投げることが可能です。カーブやスライダー、打者の手元で鋭く浮き上がるライズボールなど、誰もが「7色の魔球」を操れる点が最大の魅力と言えるでしょう。
横浜国立大学1年生の佐藤宏紀さんは、受験勉強中の運動不足を解消するためにこの競技を始め、大学入学と同時にサークルを立ち上げました。佐藤さんによると、炭酸飲料のキャップは硬く、お茶系のキャップは柔らかいといった特徴があり、これらを戦略的に使い分けるそうです。この競技の様子がYouTubeやTikTokといった動画プラットフォームで拡散され、若者の間で人気が急上昇しています。
その勢いは留まることを知らず、2019年06月の大会では大手飲料メーカーのアサヒ飲料がスポンサーとなり、ユニフォームや飲料を提供する事態にまで発展しました。さらに、2020年03月に開催予定の第2回全国大会では、前回大会の3倍となる約120人の参加が見込まれており、一大ムーブメントへと進化を遂げています。室内で手軽にでき、窓ガラスを割る心配がない点も、現代の環境に適していると言えます。
子どもの遊びが進化!戦術が鍵を握る「スポーツ鬼ごっこ」
さらに、誰もが知る「鬼ごっこ」を現代風にアップデートした「スポーツ鬼ごっこ」も支持を集めています。バスケットコートほどのスペースに7人ずつのチームに分かれ、互いの陣地にある「宝」を奪い合うルールです。相手のタッチを巧みにかわす瞬発力と、チーム全体の連携戦術が勝利の鍵を握ります。2010年に考案されたこの競技は、ゲームの楽しさに負けない運動機会を子どもたちに提供する目的で生まれました。
球技のように経験による実力差が出にくいため、運動が苦手な人でも全員が主役になれる点が画期的です。当初は小学校を中心に年齢制限を設けて実施されていましたが、競技者が成長したことで「上の年代でも続けたい」という要望が殺到しました。これを受けて、一般社団法人鬼ごっこ協会は2019年秋に22歳以下を対象とした初の全国大会を開催し、約120人の若きアスリートたちが熱戦を繰り広げました。
編集部の視点:ベンチャースポーツが示す「スポーツの原点」
日本ベンチャースポーツ連盟の篠原肇会長は、この現象について「野球やサッカーといったメジャースポーツに対する、ある種の飽きが背景にある」と分析されています。私自身、この意見には強く同意します。現代のメジャースポーツは、勝利至上主義や利権、多額の資金移動が絡むことで、時に息苦しさを感じさせることがあります。その点、ベンチャースポーツには「純粋に楽しむ」という遊び心が100パーセント詰まっています。
勝利にこだわりすぎず、誰もが平等に新しいルールの中で輝ける場所。それこそが、本来のスポーツが持っていた「余暇を楽しむ」という原点ではないでしょうか。SNSを通じて誰もが発信者になれる現代だからこそ、こうした目新しい文化が瞬く間に共有され、コミュニティを形成していくプロセスそのものが、若者にとっての新しいアミューズメントなのです。今後のさらなる発展から目が離せません。
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