中東地域で一触即発の緊張が続く中、世界の視線がモスクワへと注がれています。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2020年1月11日、ドイツのアンゲラ・メルケル首相をモスクワに迎え、約3時間半に及ぶ首脳会談を行いました。米国とイランの対立が激化する現状を受け、両首脳は「イラン核合意」の維持が極めて重要であるという認識で一致しています。
「イラン核合意」とは、イランが核兵器の開発を制限する見返りに、国際社会が経済制裁を解除するという多国間での重要な約束事です。この合意の履行についてプーチン大統領は、記者会見で「独ロは強く支持する」と明言しました。さらにイラン側にも合意を守る意思があることを示唆し、欧州に対して積極的な経済支援を行うよう促しています。
メルケル首相も「この合意の維持は両国の国益に深く合致する」と応じ、ロシアと足並みをそろえて難局に立ち向かう姿勢を鮮明にしました。ネット上では「米国が揺さぶる国際秩序の中で、独ロがこれほど強く結束する姿は驚きだ」「中東の安定にはこの2国の対話が欠かせない」といった驚きと期待の声が数多く寄せられ、世界的な注目度の高さがうかがえます。
プーチン大統領は会談の中で、中東情勢が大規模な軍事衝突へ発展することへの強い懸念を表明しました。あくまで外交手段によって事態を解決すべきだと訴え、欧州との連携をアピールしています。これは、中東における米国の影響力が低下している隙を突く狙いがあるのでしょう。ロシアが新たな調停役として、存在感を誇示しようとしている姿が浮かび上がります。
こうしたロシアの動きには、国際社会での孤立を避け、欧州との結びつきを強めたいという思惑が見え隠れします。トランプ政権が独自の路線を進める今、独ロが手を結ぶことは極めて合理的な選択と言えます。しかし、対米関係を考慮すると、メルケル首相にとっては綱渡りの外交交渉であることは間違いありません。今後の展開から目が離せないでしょう。
さらに両首脳は、泥沼化するリビアやシリアの内戦についても協議を行いました。ロシアはトルコとも連携し、リビアの紛争当事者に対して2020年1月12日からの停戦を呼びかけています。メルケル首相はこの先進的な取り組みを高く評価しました。近くベルリンでリビア和平に向けた国際会議を開催する意向を示し、プーチン大統領もこれを全面的に支持しています。
中東各国と良好な関係をアピールするプーチン大統領は、2012年以来およそ7年半ぶりとなるイスラエルへの訪問を2020年1月下旬に控えています。あらゆる勢力とパイプを持つロシアの外交手腕は、見事と言うほかありません。この中東での影響力をレバレッジとして、停滞していた欧州諸国との関係改善を一気に推し進めたいという狙いが透けて見えます。
経済面での協力も見逃せません。今回の会談では、ロシアの天然ガスをドイツ経由で欧州へ送る海底パイプライン「ノルドストリーム2」事業の推進も再確認されました。このプロジェクトには米国が制裁を発表しており、独ロ双方が激しく反発しています。エネルギー利権を巡る対立も含め、この首脳会談が今後の世界情勢を占う大きな転換点になるのは確実です。
コメント