2020年2月6日現在、ビジネスの現場では「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉が躍っています。これは単なるIT化ではなく、デジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良く変革すること。住友商事のCDO(最高デジタル責任者)である南部智一氏は、この変革こそが現代における商社の生存戦略であると語ります。
かつて、変化への対応や先取りを強みとしてきた商社にとって、今や変化の速度はかつてないほど加速しています。南部氏は、既存の縦割り組織を打破し、横断的な「DXセンター」を設立しました。世界中に広がる10万社もの取引先という圧倒的なアセットと、スタートアップ企業の先端技術を掛け合わせる。これこそが、新しいビジネスの芽を生み出すための商社が果たすべき新たな役割なのです。
駐車場が街を変える?DXが描く新たなエコシステム
DXの実践として南部氏が例に挙げるのは、2019年秋に北欧で買収した駐車場事業です。単なる場所貸しではなく、デジタル技術で車の動きを把握し、商業施設での販売促進やEV(電気自動車)カーシェア、充電サービスと連携させるインフラへと進化させます。駐車場単体での収益だけでなく、データ活用による総合的な利益追求を可能にしたのです。
SNS上でも「単なる駐車場という資産をデータ基盤と捉える発想の転換が素晴らしい」といった声が上がっています。まさに、デジタル技術で物理的な空間の価値を再定義する手法は、今後の都市開発のモデルケースとなるでしょう。
「失敗を恐れない」組織への変革とオープンイノベーション
社内にも大きな変化の波が押し寄せています。かつては即効性のある収益にこだわっていた社員から、「将来の可能性に投資すべきだ」という前向きな意見が出るようになりました。ベトナム・ハノイでのスマートシティー計画のように、データの力で部門間の壁を越えた連携が生まれています。
さらに、南部氏は外部との連携を重視する「オープンイノベーション」を推進しています。同質な人間だけでは斬新なアイデアは生まれません。多様な人材が志を共有し、自由に交流できる「梁山泊」のような環境を作ることで、凝り固まった企業文化を塗り替えようとしているのです。
慎重すぎる企業文化から脱却し、たとえ失敗しても傷が浅いうちに学びを得る。このスピード感を伴った組織改革こそが、不透明な未来を生き抜く鍵になるのではないでしょうか。私自身、この住友商事の取り組みは、伝統的な大企業がDXを本気で進める際の大変重要な示唆を含んでいると感じます。
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