ホンダが2020年3月期業績を上方修正!軽自動車N-BOX好調も新型肺炎の部品調達に潜むリスクとEV戦略の行方

本田技研工業(ホンダ)が2020年2月7日に発表した決算は、自動車業界に大きな驚きをもたらしました。2020年3月期の連結純利益は前期比3%減の5950億円となる見通しですが、なんと従来の予想から200億円も上方修正されたのです。この発表に対してSNS上では、「この逆風の中で上方修正は純粋に凄い」「ホンダの底力を感じた」といった驚きと称賛の声が相次いでいます。為替レートが想定よりも円安に推移したことや、徹底的なコスト削減が功を奏した形と言えるでしょう。

今回の業績改善を牽引したのは、日本国内における四輪車販売の力強い躍進です。特にファミリー層から絶大な支持を集める軽自動車「N-BOX」や、使い勝手の良いミニバン「フリード」が好調を維持しています。これに伴い、通期の売上高見通しは従来予想から1000億円増の15兆1500億円に引き上げられました。さらに営業利益は従来予想より400億円多い7300億円へと上方修正され、事前の減益見通しから一転して増益を確保する見込みとなり、経営陣も確かな手応えを感じているようです。

しかし、楽観視できないのが現状の自動車市場を取り巻く厳しい環境です。2019年4月から12月期の世界販売台数は前年同期比4%減の380万台にと達せず、主要市場である北米や欧州、アジアの各地で前年実績を下回る苦戦を強いられました。さらに為替が円高に振れたことも重なり、この期間の純利益は前年同期比22%減の4852億円と大きく落ち込んでいます。過去の社会保険料の還付という追い風はあったものの、本業の足元は依然として予断を許さない状況が続いています。

こうした反転攻勢の機運に影を落としているのが、中国を中心に拡大する新型肺炎(新型コロナウイルス)の感染拡大です。ホンダは中国の武漢市に3つの主要な四輪車工場を構えており、ここは世界全体の生産能力の約1割を占める最重要拠点となっています。工場の本格的な稼働再開時期は見通せず、現地従業員の確保すら不透明な状況です。さらに、中国からの自動車部品の供給が途絶えてしまえば、世界中にある他の生産拠点での操業にも深刻な悪影響が波及しかねません。

私が懸念するのは、目先の利益減少以上に、ホンダが描く中期的な成長シナリオそのものが狂ってしまうリスクです。ホンダは世界最大の自動車市場である中国を電動化戦略の起点と位置づけており、2019年4月には武漢市にEV(電気自動車)対応の新工場を稼働させたばかりでした。2021年のイギリス工場閉鎖を見据え、中国で生産したEVやハイブリッド車を環境規制の厳しい欧州市場へ供給するという壮大な計画を掲げていますが、その前提が揺らぎかねない局面に立たされています。

自動車産業における「サプライチェーン(部品の調達から製造、販売に至る一連の供給網)」の寸断は、企業の命取りになります。ホンダは中国での大量生産によるスケールメリットを活かし、長年の弱点であった経営効率の低さを克服しようとしていました。一刻も早く現地での供給網を再構築し、リスクを分散できるかが今後の鍵となるでしょう。日本を代表する自動車メーカーとして、この世界的な難局をどのように乗り越えていくのか、その手腕に熱い注目が集まっています。

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