世界最古の木造建築として名高い法隆寺を擁する奈良県斑鳩町で、今までにないエキサイティングな観光スタイルが話題を呼んでいます。のどかな田園風景の中を、1人乗りの小型車「バギー」が一列になって軽快に走り抜ける爽快なプログラムです。
このユニークな体験を提供しているのは、地域密着の観光案内所「奈良斑鳩ツーリズムWaikaru(ワイカル)」です。彼らの仕掛けた試みは、InstagramやX(旧Twitter)などのSNSを通じて瞬く間に拡散され、連日多くの人々を魅了しています。
ネット上では「歴史ある町並みと最新アクティビティのギャップが最高」「風を切って走る開放感がたまらない」といった絶賛の声が溢れており、日本を訪れる外国人観光客の間でも人気が急上昇しています。
実はこのワイカルを運営しているのは、地元の不動産会社である斑鳩産業です。彼らは、観光地をプラットフォームとして活性化させるための舵取り役である「日本版DMO(観光地経営組織)」の登録を受け、地域貢献に努めています。
歴史的な遺産がある斑鳩町ですが、他の地方自治体と同様に人口減少や空き家の増加、さらには地価の下落という厳しい現実に直面してきました。そこで同社の井上雅仁社長は、町全体の価値を維持する斬新な戦略を打ち出しました。
その戦略こそ「移住の促進に時間をかけるよりも、観光やビジネスで一時的に訪れる『交流人口』を増やす方が地域活性化の近道になる」という確信です。この熱い想いに共感した自治体や住民が一体となり、現在のまちづくりへと繋がりました。
従来の観光では、訪れた人々が法隆寺の拝観だけで満足してしまい、町を素通りしてしまうことが課題でした。景観保護を優先してきたために、周辺の大規模な商業開発が難しかったという歴史的な背景も関係しています。
せっかく足を運んでくれた人々に、少しでも長く滞在して地域の魅力を五感で味わってほしいという切実な願いから、この体験型プログラムは誕生しました。この取り組みは自社だけに留まらず、周囲の店舗や企業にも広く協力を呼びかけています。
プログラムは実に多彩で、外国人向けの茶道や書道体験だけでなく、日本の旅行者が気軽に楽しめる園芸店でのリース作りなども用意されています。地域の特性を活かした多彩なメニューが、観光客の知的好奇心を刺激してやみません。
さらに、2020年1月からは東南アジアで親しまれている三輪自動車「トゥクトゥク」の導入も始まりました。これにより体験プランは一気に24種類へと倍増し、これまでにないスピードで集客に弾みがつくことが期待されています。
地方創生の鍵は、単に歴史を守るだけでなく、訪れる人が笑顔になれる「コト消費」の創出にあります。バギーやトゥクトゥクという斬新な乗り物を通じて、斑鳩町の未来が鮮やかに彩られていく様子から、今後も目が離せません。
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