新型肺炎で新興国が利下げラッシュ!タイやブラジルも過去最低金利へ踏み切る背景と今後の世界経済の行方

世界中を震撼させている新型肺炎の影響により、新興国の間で中央銀行が金利を引き下げる「利下げ」の動きがドミノ倒しのように広がっています。2020年2月5日にはタイとブラジルが、翌日の2020年2月6日にはフィリピンも相次いで金融緩和に踏み切りました。SNSでも「ついにタイまで金利1%か」「世界的な景気後退が現実味を帯びてきた」と、経済への大打撃を心配する声が数多く上がっています。今回の措置は、感染拡大で冷え込んだ景気を下から支えるための苦渋の決断と言えるでしょう。

そもそも利下げとは、中央銀行が世の中のお金の回りを良くするために行う政策です。金利が下がれば企業や個人がお金を借りやすくなり、投資や消費が活発化するため、景気を刺激する効果が期待できます。特に観光業や資源ビジネスが国の経済を支える新興国にとって、中国からの人やモノの流れが途絶えることは死活問題です。国際通貨基金のデータを見ても、2019年の新興国の経済成長率は3.7%と、約10年ぶりの低い水準に留まっており、そこに今回の新型肺炎が追い打ちをかけた格好となります。

フィリピン中央銀行は2020年2月6日、政策金利を3.75%に下げる決定を下しました。観光客の減少や海外で働く出稼ぎ労働者からの送金減少を見込んでおり、2020年の国内総生産を0.3%も押し下げると試算しています。また、タイ中央銀行も2020年2月5日に金利を史上最低の1.00%にまで引き下げました。タイにとって観光業は経済の約2割を占める大黒柱であり、中国人観光客の激減が今回の異例の決断を後押しした模様です。

南米のブラジルでも2020年2月5日に利下げが行われ、過去最低の4.25%となりました。中国への鉄鉱石などの資源輸出が落ち込むことへの危機感が背景にあります。しかし、すべての国が自由に金利を下げられるわけではありません。インドのように物価が上昇するインフレの懸念がある国や、通貨価値の暴落に怯える国では、これ以上の金融緩和が難しく、ジレンマに陥っています。個人的には、ただ金利を下げるだけでなく、感染終息後のグランドデザインをどう描くかが各国の命運を分けると考えます。

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