日本を代表する総合重工業メーカーである川崎重工業が、2020年2月6日に2019年4月から12月期の連結決算を発表しました。その内容は、純利益が前年の同じ時期と比べて58%も減少する47億円という、非常に厳しいものとなっています。この驚きのニュースに対して、SNS上では「日本のものづくりは大丈夫か」「中国の景気減速の影響がここまで出るとは」といった、将来を不安視する声が次々と上がっているようです。
今回の業績悪化を招いた大きな要因として、精密機器・ロボット事業の深刻な落ち込みが挙げられます。世界的な半導体の市場環境が悪化したことにより、半導体を作る装置に組み込まれるロボットの売れ行きが大きく伸び悩みました。さらに、中国における道路や鉄道といった社会基盤の整備、いわゆるインフラ投資がスピードダウンしたことも、大きな打撃となっています。
中国市場の在庫調整と精密機器事業へのダブルパンチ
中国の建設機械メーカーが部品の在庫量を減らす調整に動いた結果、パワーショベルなどに使われる油圧機器の販売が急激に減少しました。油圧機器とは、液体の圧力を利用して重いものを動かす、機械の筋肉のような役割を果たす重要な部品のことです。この影響により、産業用ロボットや油圧機器を扱う部門の利益は、前年同期比で65%減の52億円にまで激減してしまいました。
追い打ちをかけるように、航空機エンジン事業でも想定外のトラブルが発生しています。イギリスの有名企業であるロールス・ロイス社などと共同開発しているエンジンにおいて、部品の不具合が見つかったのです。この対策費用として76億円もの損失を計上せざるを得なくなり、さらに1ドルあたりの価値が上がる円高の進行によって、47億円の為替差損、つまり通貨の価値の変動による損失も膨らみました。
通期目標の達成に向けた副社長の自信と今後の展望
一方で、売上高に関しては前年同期比4%増の1兆1354億円を確保しており、本業の儲けを示す営業利益は16%減の309億円にとどまりました。同社は2020年3月期の通期営業利益予想について、従来の計画から40億円上方修正し、600億円を目指すと発表しています。最終的な純利益の予想は250億円のまま据え置いたものの、現時点での達成率はわずか19%にとどまっているのが実情です。
しかし、同日に開かれた記者会見において、富田健司副社長は力強い見通しを示しました。川崎重工業のビジネスモデルは通常、1月から3月期に利益が集中する構造となっています。富田副社長は「2019年の後半から、半導体向けロボットの注文が再び戻り始めている」と明かし、年間計画は十分にクリアできるという自信を覗かせました。
編集部が読み解く川崎重工業の未来への可能性
今回の決算は一見するとショッキングですが、売上高が伸びている点は企業の底力を証明していると言えるでしょう。トラブル対策費などの一時的な出費や、為替の影響によるマイナスを差し引けば、本業そのものが壊滅的なダメージを受けたわけではありません。中国の景気動向に左右されやすい構造は課題ですが、最先端の半導体分野での需要回復は、同社にとって明るい兆しです。
ネット上での悲観的な意見とは裏腹に、ここからの巻き返しには大いに期待が持てます。製造業の現場で自動化を支えるロボットの技術は、人手不足が深刻化する世界において今後も絶対に欠かせない技術です。今回の苦境をバネにして、川崎重工業がどのようなV字回復のシナリオを描くのか、これからの動向から目が離せません。
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