工作機械受注の減少から読み解く未来!2019年の自動車向け不況と2020年5G投資への期待

「製造業の余力」を映し出す鏡とも言える工作機械の市場に、今まさに大きな嵐が吹き荒れています。日本工作機械工業会が2020年1月28日に発表したデータによると、2019年の年間受注総額は前年と比べて32.3%も減少し、1兆2299億円という結果になりました。これは3年ぶりのマイナス成長であり、世界的な景気後退の足音が聞こえてくるような数字です。SNS上でも「日本のものづくりは大丈夫か」「自動車業界の買い控えがリアルに数字に出ている」といった、将来を不安視する声が数多く上がっています。

特に深刻な影を落としているのが、日本の基幹産業である自動車分野の低迷でしょう。国内の自動車向け受注は前年比43.7%減の1398億円と、文字通り半減に近い落ち込みを記録しました。新車の販売不振に加え、激化する米中通商摩擦によって企業が新しい設備投資をためらったことが、この歴史的な下落の引き金になったと考えられます。現場では「景気の先行きが見えない中で、高額な機械を新調するリスクは冒せない」という心理が働いており、投資意欲の急減退が数字に直結した形です。

スポンサーリンク

世界に広がるサプライチェーンの冷え込み

この冷え込みは日本国内に留まらず、世界各地の製造業を直撃しています。地域別で見ると、アジア向けが38.2%減の2958億円となったほか、欧州や北米でも軒並み大幅な減少を記録しました。世界経済を牽引する中国の減速が、ドイツなどのヨーロッパの主要国にも飛び火している状況です。工作機械とは、金属を削るなどして部品を作るための「マザーマシン(母なる機械)」を指しますが、すべての製品の土台となるこの機械が売れないということは、世界的なモノづくりの停滞を意味しています。

一方で、すべての分野が暗闇に包まれているわけではありません。直近である2019年12月の単月データを見ると、全体としては15カ月連続のマイナスとなったものの、半導体製造装置や農業機械の関連では底堅い動きが見られます。さらに、産業用ロボットの市場においても、輸出こそ溶接用ロボットを中心に大きく落ち込んだものの、国内出荷は前年比で微増となりました。米中摩擦による投資の先送りという長いトンネルの先に、ようやくかすかな光が見え始めているのは救いです。

2020年のV字回復を握る「5G」の鍵

気になる2020年の見通しですが、関係者の間では早期の底入れを期待するポジティブな見方が強まっています。日本工作機械工業会は、2020年の年間受注を1兆2000億円と予測しており、現状の低い水準からの緩やかな回復を織り込みました。その期待の中心にあるのが、次世代通信規格「5G」の本格化に伴う半導体関連への大規模な投資拡大です。摩擦の緩和ムードも手伝い、業界のトップからは「2020年7月には目標を達成できる水準に戻る」という力強い声も聞かれます。

私自身の見解として、今回の急減は決して日本の製造業の衰退を意味するものではないと考えます。むしろ、次なる巨大なテクノロジーの波を前にした「一時的な息留め」の状態と言えるでしょう。自動車の電動化や5Gの普及は不可避の流れであり、これらに対応するための設備投資は必ず近いうちに再開されます。目先の減少に過度に悲観するのではなく、激変する産業構造に日本の技術がどう適応していくか、その底力に注目すべき時期が来ているのではないでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました