私たちの空の旅が、これから劇的に変わろうとしています。航空機向けのエンターテインメントシステムで世界をリードするパナソニックアビオニクス(PAC)が、従来の機器販売からサービス重視のビジネスへと舵を切りました。機内の画面で映画を見るだけでなく、乗客一人ひとりに合わせたおもてなしを受ける時代がすぐそこまで来ています。ネット上でも「飛行機の中がもっと快適になりそう」「次の旅行が楽しみ」と、新しい空の体験に期待を寄せる声が数多く上がっています。
この変革の背景には、パナソニック全体が掲げる「モノからコトへ」という戦略があります。これは製品という形ある「モノ」を売るだけでなく、利用者が体験する価値やサービスという「コト」を提供して収益を得るビジネスモデルへの転換を指す言葉です。パナソニックは1979年にラジオ製造で航空業界に参入し、今では機内通信などで高いシェアを誇ります。しかし、機器の値下げ圧力が強まって減収傾向にあるため、構造改革が急務となっているのです。
シリコンバレー近郊から発信する「空のデジタル化」
新たな挑戦に向けて、同社は2019年にアメリカのカリフォルニア州プレザントンへ協業拠点を新設しました。ここは生活コストが高騰するシリコンバレーから少し離れた、落ち着きのある注目エリアです。開設された「イノベーションスタジオ」は、航空会社と共同で新しいサービスを生み出すための場所として機能しています。一般的なオフィスを改装した開放的な空間は、クリエイティブなアイデアが次々と湧き出るような工夫に満ちあふれています。
この西海岸の拠点から生み出されるのが、地上と同じようにネットを楽しめる高度なサービスです。例えば機内での電子商取引、いわゆるEC提案が挙げられます。乗客が機内で何を閲覧し、何に興味を持っているのかをシステムが高度に分析します。そのデータをもとに、画面への通知を通じて、その人が本当に欲している商品や観光情報を最適なタイミングで案内してくれる仕組みです。まさに、自分専用のコンシェルジュが寄り添ってくれる感覚ですね。
映画やゲームなどの娯楽コンテンツも、乗客の好みに合わせて個別に提案されるようになります。好みにぴったりなコンテンツに出会えれば、長時間のフライトも退屈とは無縁になるでしょう。乗客の満足度が向上するのはもちろんのこと、航空会社にとっても新しい利益を生み出す絶好のチャンスとなります。単なる移動空間だった機内が、これからはデジタル技術によって、個人の趣味嗜好を満たす魅力的な空間へと生まれ変わるのです。
私自身、これからの航空ビジネスは「移動の快適さ」をいかにパーソナライズできるかが勝負になると確信しています。これまでは画一的なサービスが主流でしたが、乗客それぞれに寄り添うデジタル空間が実現すれば、飛行機に乗ること自体が旅の最大の目的になるかもしれません。ハードウェアの品質に定評があるパナソニックだからこそ、このサービス改革は業界に大きな革新をもたらすはずです。これからの進化から、目が離せません。
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