日本を訪れる外国人観光客の勢いが止まりません。2020年1月19日現在のデータによると、2019年の訪日中国客数は前年比14.5%増の約959万人に達し、全体の3割を占める大盛況となっています。
消費額でも中国の存在感は圧倒的で、全体の4割近くを占めています。SNS上では「街中で中国語を耳にすることが本当に増えた」「経済効果がすごそう」といった驚きの声が相次いでおり、日本経済への恩恵の大きさが注目されている状況です。
しかし、その消費行動の中身を覗くと、若い女性を中心とした買い物への偏りが見えてきます。1人あたりの買い物代は約10万9千円と全体平均の2倍に達しており、かつてのブームが落ち着いた今も、実質的な購買意欲は非常に高いままです。
東京五輪後に懸念される持続力と「コト消費」の壁
ここで重要になるのが「コト消費」への転換です。コト消費とは、物品の購入ではなく、温泉や文化体験、観光ツアーといった「体験型」のサービスにお金を使う消費行動を指します。現状、日本の訪日消費に占める娯楽サービス費の割合はわずか3.9%に過ぎません。
先進国が加盟するOECD(経済協力開発機構)の平均である12%と比較すると、日本は3倍もの格差をつけられています。買い物目的の旅行者は都市部に集中しやすいため、このままでは日本の地方へ観光客を呼び込むことが難しくなってしまいます。
筆者は、これからの日本観光は「モノ」を売るだけでなく、日本でしか味わえない「情緒や体験」の価値を伝えるべきだと考えます。SNSで話題の絶景温泉を訪れる中国の若者のように、個人の興味関心に刺さる魅力発信が不可欠でしょう。
特定国への依存リスクを乗り越え観光の「質」を高める時代へ
民間企業も動き出しています。JTBはハイヤーでの観光ツアーを拡充し、USJは人気キャラクターの世界を体現した新エリアを2020年夏に開業予定です。こうした体験型コンテンツの充実こそが、2020年の東京五輪が終わった後の持続力を支える柱となります。
また、特定国への依存にはリスクも伴います。実際に日韓関係の冷え込みにより、2019年の韓国からの訪日客は26%も減少しました。航空便の減便やホテルの宿泊者数激減など、九州地方を中心に深刻な影響が広がっています。
過去には日中関係の悪化で観光客が激減した事例もあり、1つの地域に頼る怖さを忘れてはなりません。これからは欧米や東南アジアなど多方面から長期滞在客を呼び込み、人数だけでなく観光の「質」を高める施策こそが、日本に求められています。
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