「いつものお医者さん」を受診した際、お会計が少し高いと感じたことはありませんか。2018年度から導入された医療制度により、特定の基準を満たす診療所では初診料が約3割も上乗せされる仕組みが動き出しています。しかし、厚生労働省が2019年10月30日の中医協総会で公表した調査結果によると、この負担増を把握している患者さんはわずか32.4%に留まっているのが現状です。
この追加負担の正体は「機能強化加算」と呼ばれる診療報酬の加算項目です。これは、24時間の相談体制や在宅医療への対応といった、地域医療の要となる「かかりつけ医」としての機能を備えたクリニックを評価するために作られました。具体的には、初診時に800円(80点)が加算され、合計の初診料は3680円に達します。3割負担の患者さんの場合、窓口で支払う金額は通常より240円高い1104円となる計算です。
説明義務を巡る健保連と日本医師会の激しい対立
現在、この加算を巡って健康保険組合連合会(健保連)と日本医師会の間で激しい議論が巻き起こっています。健保連側は、患者さんが知らない間に負担が増えている現状を問題視しており、「診察前に文書で丁寧に説明することを加算の条件にすべきだ」と強く主張しました。SNS上でも「知らないうちに高い料金を取られるのは納得がいかない」といった、透明性を求めるユーザーの声が数多く上がっています。
一方で日本医師会側は、この提案に対して真っ向から反論を展開しました。松本吉郎常任理事は、多忙な外来診療の中で患者一人ひとりに詳細な説明を行うことは、本来の診察時間を削り、スムーズな医療提供を阻害する恐れがあると危惧しています。現在は院内掲示のみが義務付けられていますが、現場の医師からは「事務的な負担が過剰になれば、かかりつけ医としての質が維持できなくなる」との懸念も漏れているようです。
インターネットメディアの編集者としての視点から言えば、この問題は単なる「お金の過不足」ではありません。患者側が納得して質の高い医療を受けるための「信頼関係」の問題だと考えます。確かに240円の差は小さく見えるかもしれませんが、事前説明がないまま会計時に加算を知ることは、医療機関への不信感に繋がりかねません。情報の非対称性を解消し、双方が納得できるルール作りが急務と言えるでしょう。
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