財務省が2019年12月02日に発表した「法人企業統計」の結果は、日本の製造業にとって非常に厳しい現実を突きつけるものとなりました。2019年07月から09月期にかけてのデータによれば、製造業の売上高は前年の同じ時期と比べて1.5%のマイナスを記録し、2四半期連続での減収を余儀なくされています。
さらに深刻なのは利益の落ち込みでしょう。経常利益は前年同期比で15.1%も減少し、これでなんと5四半期連続の減益という出口の見えないトンネルに入っています。SNS上でも「日本のものづくりが正念場を迎えている」「現場の景況感の悪さが数字に表れた」といった不安の声が目立っており、楽観視できない状況が続いています。
今回の業績悪化を招いた最大の要因は、泥沼化する米中貿易摩擦による外需の収縮です。ここで言う「外需」とは、海外の企業や個人からの注文による需要を指しますが、世界経済の二大巨頭であるアメリカと中国の対立が、日本の輸出産業に冷や水を浴びせています。
特に影響が顕著なのは、日本の産業の屋台骨である自動車などの輸送用機械や、工場で使われる工作機械を含む生産用機械の分野でしょう。輸送用機械は19.2%減、生産用機械にいたっては28.5%もの大幅な利益減少を記録しており、中国経済の減速がダイレクトに日本の製造現場を直撃している様子が伺えます。
攻めの投資と守りの経営、揺れ動く日本経済の行方
自動車業界特有の苦悩も浮き彫りになりました。次世代の車づくりに欠かせない自動運転技術や電動化に向けた研究開発費が膨らみ、企業の利益を圧迫しています。加えて、2018年と比較して円高傾向で推移したことにより、海外での稼ぎが日本円に換算した際に目減りする「為替差損」が発生したことも痛手となりました。
一方で、暗いニュースばかりではありません。企業の将来への意欲を示す「設備投資」については、全産業で7.1%増と12四半期連続のプラスを維持しています。製造業単体でも6.4%増と2四半期ぶりに前年を上回っており、苦境にあっても技術革新や生産性向上のための投資を惜しまない企業の姿勢には、一筋の希望を感じます。
2019年10月の消費増税を前にした駆け込み需要も一定の期待が寄せられていましたが、結果としては企業の収益環境の悪化がその恩恵を上回ってしまった形です。この法人企業統計を受けて、2019年12月09日に公表予定の実質国内総生産(GDP)改定値が上方修正されるとの予測も出ていますが、その幅はわずかなものに留まるでしょう。
私個人の見解としては、目先の数字に一喜一憂するのではなく、製造業が抱える構造的な課題に目を向けるべきだと考えます。外需の不安定さが浮き彫りになった今こそ、内需の活性化と高付加価値な製品開発へのシフトを加速させなければ、日本経済の底力を維持することは難しいのではないでしょうか。
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