埼玉県が2020年度予算案を発表!過去最大の1兆9603億円で挑む安心・安全な街づくりと財政の現実

埼玉県は、安心や安全の確保に深く焦点を当てた2020年度の予算案を発表しました。その総額は過去最大規模となる1兆9603億円に達しています。しかし、この華やかな数字の裏側には、歳入の確保に苦しむ厳しい財政状況が隠されているのをご存じでしょうか。SNS上でも「これからの埼玉の安全が守られるのは嬉しいけれど、お財布事情は本当に大丈夫なのか」といった、期待と不安が入り混じった声が数多く寄せられています。

今回の予算案を細かく紐解いていくと、県税収入全体としては前年度をわずかに上回る7755億円を確保しています。これは消費税率の引き上げに伴って、地方消費税の増収効果が現れたおかげだと言えるでしょう。地方消費税とは、私たちが買い物をした際に支払う消費税の一部が、国ではなく都道府県の財源として配分される仕組みのことです。このサポートによって、かろうじて全体の収入を維持できているのが現状となっています。

その一方で、深刻な課題となっているのが企業から集まる税金の減少です。企業が自治体に納める「法人2税」と呼ばれる法人県民税と法人事業税が、前年度に比べて6.4%も落ち込む見通しとなりました。これは海外経済の先行きが不透明になり、県内企業の業績悪化が懸念されているためです。民間企業の元気がなくなると、巡り巡って行政の使えるお金も減ってしまうという、現代社会のシビアな連鎖がここにはっきりと表れています。

このような厳しい状況を乗り切るため、埼玉県は借金にあたる「県債」を2098億円計上しました。これらは主に、河川の決壊を防ぐための対策といった公共事業の財源として活用されます。さらに、貯金に相当する「財政調整基金」という、年度間の財源の過不足を調整するための積立金からも437億円を取り崩す事態となっています。2019年度にも660億円を切り崩しており、貯金に頼る体質が続いていることは否めません。

こうした苦境の背景には、2019年8月に就任した大野元裕知事が置かれた特殊な環境があります。大野知事は就任直後から、家畜の感染症である豚熱(CSF)への対応や、相次ぐ大型台風の被害といった危機管理に追われ続けてきました。その結果、新しい事業をじっくり検討したり精査したりする時間的な余裕が削られてしまったのです。今回の予算案は、そんな突発的な事態の連続の中で編成された苦渋の決断とも言えます。

そのため今回の予算は、過去最大規模でありながらも、災害や児童虐待問題といった「いま目の前にある危機」への対応に予算を絞り込む形となりました。これは、財政の健全化を求める県民や県議会からの厳しい目を、知事がしっかりと意識した結果でしょう。私はこの判断について、限られたリソースを最も困っている人々のために使うという、極めて誠実で現実的なリーダーシップの発露であると高く評価したいと考えています。

大野知事が掲げる目玉公約の実現や、真の「大野カラー」が発揮されるのは、2021年度以降の予算編成に持ち越される見込みです。少子高齢化が加速するこれからの時代は、社会保障費などが膨らみ、どうしても財政が硬直化して動きづらくなってしまいます。だからこそ、今後は事業の重要性を見極めて大胆に見直す「選択と集中」の視点が、埼玉県にとってますます不可欠な要素になっていくに違いありません。

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