工作機械のグローバル大手であるDMG森精機が、2020年2月14日に最新の決算と今後の見通しを公表しました。発表によると、2020年12月期の連結純利益は前の期と比べて53%減の85億円となる見込みです。世界的な製造業の基盤を支える同社ですが、米中間の貿易摩擦による設備投資の冷え込みが影を落としています。
これを受けてSNS上では「製造業の冬の時代が本格化してきた」「世界景気の減速が如実に表れている」といった懸念の声が相次ぎました。一方で、年間配当については前期と同様の60円を維持する方針を示しており、株主還元への姿勢を評価する意見も見られます。経済の先行きが不透明な中でも、企業の底堅さを信じるファンの声は少なくありません。
売上高に該当する売上収益に関しては、18%減の4000億円にとどまる見通しとなっています。ここで注目したいのが、製造業の景気循環において最重要の指標とされる「受注状況」の動きです。森雅彦社長は同日の会見で、過去の受注低迷が業績に響いているものの、足元では底を打ちつつあるという前向きな認識を示しました。
その回復を牽引すると期待されているのが、次世代の高速通信規格である「5G」関連の需要拡大です。5Gとは、超高速・大容量でデータを送受信できる新しい通信技術のことで、スマートフォンだけでなく自動運転やスマート工場など、幅広い産業に革命をもたらします。この5Gインフラや対応デバイスを生産するための工作機械が、今後の救世主となるでしょう。
筆者の視点としては、現在の苦境は一時的な技術の過渡期によるものであり、5Gや自動化への投資が本格化すれば、同社の技術力は再び世界から必要とされるはずです。短気な業績の乱高下に一喜一憂するのではなく、製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支える長期的なポテンシャルにこそ、私たちは注目すべきではないでしょうか。
さらに、現在世界中で懸念されている新型コロナウイルスの感染拡大についても、記者会見で具体的な対応策が明かされました。同社は中国の拠点で生産に用いる鋳物(金属を溶かして型に流し込んだ部品)を現地調達していましたが、物流や工場の停滞を受けて、その一部を急拠日本からの供給へと切り替えています。
この調達ルートの見直しによって、一時的に輸送コストなどの物流費が膨らむことは避けられません。しかし森社長は、これらの突発的な影響についても「すでに今回の業績予想の中に織り込み済みである」と冷静に語りました。リスクをいち早く想定し、迅速にサプライチェーンを組み替える危機管理能力の高さは、さすが世界のトップランナーです。
なお、同時に発表された2019年12月期の連結決算は、売上収益が前の期比3%減の4857億円、純利益が3%減の179億円という結果でした。これまでは比較的安定した業績を維持していただけに、2020年2月14日時点の予測が示す減益の波をどう乗り越えるかが、今後の大きな見どころになるでしょう。進む5G社会への投資を追い風にした、同社の次なる一手に期待が集まります。
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