【EV覇権の行方】中国製造2025の最終兵器!電池・AIで国産化率8割を狙う「官製サプライチェーン」の衝撃

今、自動車業界は「100年に一度」と呼ばれる大変革期を迎えていますが、その主導権を握ろうと、中国が官民を挙げて推進しているのがハイテク産業育成策**「中国製造2025」**です。この記事が報じられた2019年5月29日当時、この構想は米中貿易戦争の主要な争点となっていました。しかし、米国の批判をかわすために中国当局は構想全体への言及を避けたものの、「新エネルギー車(EVやPHV)」という重点分野では、着々と目標達成に向けて動いている実態が明らかになりました。

特筆すべきは、電気自動車(EV)の部品供給網(サプライチェーン)における中国勢の台頭です。日産自動車の元開発責任者も、「今や中国製部品なしではEVを造れない時代になった」と上海国際自動車ショーで明かしたといいます。かつて、日産のEV「リーフ」の部品はほぼ日本製でしたが、現在ではEVの生産コストの約3分の1を占める駆動用電池に、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)製を採用しています。CATLはすでに世界最大級の生産規模とコスト競争力を誇っているのです。

中国政府の育成策は非常に具体的です。2025年までにEVなどの重要部品の国産化比率を8割以上に高める計画を掲げ、中国製電池を搭載した車両には手厚い補助金を出すなどの優遇策を進めてきました。その結果、2018年の世界車載電池出荷ランキングでは、トップ10のうち7社を中国勢が占めるという圧倒的な強さを見せています。また、EVの心臓部である駆動用モーターの分野でも、精進電動科技(北京市)などの有力メーカーが規模を拡大し、外資系企業からもシェアを獲得し始めています。

さらに、自動車のデジタル化を支える自動運転技術においても、中国発のイノベーションが加速しています。例えば、上海市の禾賽科技(ヘサイ・テクノロジー)が開発した**「ライダー(LiDAR)」**は、自動運転車の「眼」となる基幹部品です。この企業は、米シリコンバレー帰りの中国人起業家が設立し、中国インターネット検索最大手の百度(バイドゥ)などの出資を受けて急成長を遂げています。彼らが「大量生産するなら中国しかない」と考え、世界最大の市場を足掛かりに、米国のライバル企業を猛追しているのです。

SNSでは当時、「国策でこんなに企業が強くなるのか」「もはやEVは中国の独壇場になりつつある」と、そのスピード感に驚く声が多数上がっていました。私見ですが、中国政府の目標は単に国内市場を固めることにとどまらず、「EVの輸出大国になること」を最終目標に据えています。補助金廃止後の自律成長という課題は残るものの、もし2025年までに年700万台規模の新エネ車市場が実現すれば、中国勢が世界のEVサプライチェーンを完全に掌握する可能性は十分にあると言えるでしょう。

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