2019年5月31日、栃木県において、二つの中小企業が手を組み、新たな成長戦略をスタートさせました。それは、金属加工の分野で知られる真岡市の青木製作所と、コンテナ建築や廃棄物収集・運搬業を手掛ける宇都宮市のピースノートです。深刻化する人手不足を背景に、それぞれの得意先企業に相手の製品やサービスを紹介したり、営業活動を相互に代行したりすることで、業務効率を高め、共に成長を目指す異業種連携の取り組みが注目を集めています。
ピースノートが手掛ける事業の一つに、ポリ塩化ビフェニール(PCB)という廃棄物の処理受託があります。これは、かつて変圧器やコンデンサーなどに広く使用された、毒性の高い有機塩素化合物で、法律により2027年3月までに適切な処理が義務付けられています。同社のPCB廃棄物処理の実績は非常に好調で、処理期限が迫るにつれて、今後さらなる受注拡大が見込まれている状況です。
しかし、好調な事業の裏側で、ピースノートは営業担当者が3名と限られているため、新規顧客の開拓や既存顧客へのフォローが手薄になっているという課題を抱えています。ここでカギとなるのが、製造業とのつながりです。PCB廃棄物は、製造業の現場で発生しやすい特性があるため、青木製作所の取引先からの紹介を受けたり、同社に営業を代行してもらったりすることで、手薄な営業体制を補いつつ、事業の拡大を図りたい考えです。ピースノートは、この協業を強力なテコにして、現在の年間売上高5億円前後を、一気に倍の10億円に引き上げることを目標にしています。
一方、金属部品の設計・加工や工具のメンテナンスなどを得意とする青木製作所にとっても、この提携は大きなメリットがあります。ピースノートが持つメーカーを中心とした取引先ネットワークを通じて、新たな受注獲得につなげたいという狙いです。さらに、青木製作所は今後、医療関連機器の製造・販売にも乗り出す計画があり、病院とのネットワークを持つピースノートとの協業は、販路拡大において非常に有効であると見込まれています。青木製作所は現在約30億円の年商を、3年後には50億円に引き上げるという意欲的な目標を掲げています。
両社ともに、事業領域の幅広さも連携を後押しする要素です。ピースノートはコンテナ建築やリフォームを手掛ける一方、青木製作所はベトナムからの人材派遣事業を予定するなど、それぞれの事業分野が多岐にわたります。こうした幅広いフィールドで連携を深めることで、単なる業務の代行に留まらない、より大きなシナジー(相乗効果)を生み出したいとの考えがうかがえます。現時点では、資本提携や業務提携といった正式な契約関係を結ぶのではなく、役員を相互に派遣することで、柔軟かつ強固な協力体制を構築する方針です。
📝コラムニストの見解:異業種連携は時代を拓くフロンティアでしょう
この青木製作所とピースノートの取り組みは、現在の日本が直面する人手不足という大きな壁を乗り越えるための、極めて現実的で賢明な戦略だと私は考えます。特に地方の中小企業にとって、優秀な人材の確保は死活問題です。自前ですべてを賄う「自給自足型」の経営から脱却し、強みを持つ異業種のパートナーと「助け合う」経営へと舵を切ることは、現代における事業成長の新しいフロンティアでしょう。
SNS上でも、「地方の中小が知恵を絞っているのがわかる」「限られたリソースを有効活用する好例」といった肯定的な意見や、「医療機器とPCB処理、一見接点がない分野がどう繋がるのか楽しみ」という期待の声が寄せられています。私は、この連携が目指す売上倍増という目標は、決して夢物語ではないと確信しています。互いの強みと弱みを深く理解し、営業リソースの相互補完と、新しい事業分野へのスムーズな参入を実現することで、両社は着実に目標を達成していくと期待しています。シナジーを最大化し、人手不足を克服するこの挑戦は、全国の中小企業のモデルケースとなるのではないでしょうか。
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