2019年6月1日付で実施されたソフトバンクの人事異動は、同社の事業戦略において非常に重要な意味を持っています。このたびの組織改編とキーパーソンへの配置換えは、既存の主力事業であるモバイル領域、特に「Y!mobile(ワイモバイル)」ブランドのさらなる強化と、将来を見据えた新規事業開拓への強い意欲を示していると言えるでしょう。
なかでも注目されるのは、寺尾洋幸氏が常務執行役員として「プロダクト&マーケティング統括サービス企画本部長」に留任しつつ、新たに「Y!mobile事業推進本部長」を兼務することになった点です。Y!mobileは、ソフトバンクグループのマルチブランド戦略において、低価格帯を担う重要な柱であります。この重要なポジションに、プロダクトとマーケティング全体を司る要人を充てることで、サービス開発から市場浸透まで一貫したスピード感ある事業展開を推し進めていくものと期待されます。
また、今後の成長エンジンとなる新規分野への布石も見逃せません。事業開発統括では、ジョニー・ユー氏が「ライフサイエンス事業&投資戦略本部長」に就任されました。ライフサイエンスとは、生命科学や医療、バイオテクノロジーといった分野を指します。同氏はこれまで「事業戦略室長」を務めており、ソフトバンクグループがグローバルで進める最先端技術や革新的なビジネスモデルへの投資戦略を、この重要かつ専門的な事業領域に本格的に活かしていく体制が整えられたと推察されます。
さらに、モバイル事業における技術面での機動力強化も重要なポイントです。「モバイル技術統括モバイルネットワーク本部」において、柴田克彦氏が「周波数企画室長」を兼任しつつ「モバイルネットワーク本部副本部長兼無線設備統括部長」に就かれました。携帯電話事業にとって、利用できる電波の帯域である「周波数」の効率的な利用計画は、通信品質や次世代通信規格の導入に直結する極めて重要な専門技術分野であります。この人事は、モバイルネットワークの品質向上と、来るべき技術革新への準備を加速させる狙いがあるのでしょう。
今回の組織体制の変更を受けて、SNS上では「ワイモバイルの攻勢がさらに強まりそう」「ソフトバンクのライフサイエンスへの本気度が伝わってくる人事だ」といった好意的な反響が見受けられました。既存事業の盤石化と未来への積極的な投資を両立させるという、ソフトバンクの多角的な成長戦略が明確に示された人事異動と言えるのではないでしょうか。ソフトバンクがこの新体制で、日本の情報通信分野、そして世界における技術革新の牽引役としてどのような活躍を見せてくれるのか、今後の動向に大いに注目していくべきでしょう。
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