物事を継続させることは、口で言うほど簡単なことではありません。芥川賞作家として知られるねじめ正一氏も、自らを「何をするにも三日坊主で長続きしたことがない」と評する一人です。唯一の趣味である野球観戦でさえ、わざわざ球場へ足を運ぶほどではないと語る彼が、ここ4、5年の間、異例ともいえる熱意を注いでいる対象が存在します。それが、元宝塚歌劇団のスターであり、現在は女優として唯一無二の輝きを放つ彩吹真央さんです。
ねじめ氏は、自らの活動を「追っかけ」のようなものだと表現されています。しかし、一般的に想像されるようなファンクラブへの入会や、全公演の制覇、大量のグッズ購入といった「王道」のスタイルとは一線を画しているのが興味深い点です。一つの演目を一度だけ鑑賞するというストイックな距離感を保ちながらも、多忙な仕事の合間を縫って劇場へ駆けつけるその姿からは、義務感ではない純粋な敬愛の念がひしひしと伝わってきます。
SNS上では、この「自分なりのペースで楽しむ推し活」という姿勢に対し、「共感できる」「大人ならではの応援の形だ」といった好意的な反響が寄せられています。特定の型にはまることなく、自分の許す範囲で最大限の熱意を注ぐことこそ、長く趣味を続ける秘訣なのかもしれません。かつては華やかな男役としてファンを魅了した彩吹さんが、退団後もなお、目の肥えた表現者をも唸らせ続けているという事実は、彼女の実力の高さを如実に物語っています。
舞台女優・彩吹真央が見せる「真面目さ」という名の美しき実力
彩吹真央さんとねじめ氏との出会いは、2009年頃のことでした。きっかけは知人から譲り受けたチケットで、奥様と共に初めて足を運んだ宝塚歌劇の舞台だったといいます。当時の彼女は、長い腕を活かしたしなやかで力強い踊りが非常に印象的でした。その後、彼女が宝塚という輝かしいステージを去った2010年以降も、偶然の重なりから女優としての道を歩み始めた彼女の公演を鑑賞する機会に恵まれ、ねじめ氏はその魅力の虜になっていきました。
舞台上での彩吹さんは、どのような役柄であっても驚くほど真剣で、どこまでも真面目な姿勢を崩しません。「実技の裂け目」とも呼ぶべき、一瞬の戸惑いや立ちすくむような場面でさえ、彼女の内側から溢れ出る誠実さが観客の心を強く揺さぶるのです。ここでの「実技」とは、単なる演技のスキルだけでなく、磨き上げられた歌唱やダンス、立ち振る舞いといった舞台人としての総合的な力量を指しており、その完璧さの中に垣間見える人間味こそが真骨頂といえます。
編集者の視点から申し上げれば、2019年9月21日現在のねじめ氏の告白は、単なるファンの称賛を超えた、クリエイター同士の共鳴のように感じられます。プロとして第一線で走り続ける者が、相手の仕事に対する誠実さに惚れ込むという構図は、非常に美しいものです。一つの道を究めた人間が、別の分野で真摯に努力する姿を見て感動を覚えるのは、そこに共通する「本物の輝き」を見出しているからに他ならないからでしょう。
コメント