愛知県名古屋市に位置する東山動植物園にて、長年愛されてきたミシシッピワニの「ミッピー」が2019年5月にこの世を去りました。その後、2019年10月2日に行われた園への取材によって、驚くべき事実が明らかになったのです。なんと、解剖されたミッピーの胃袋からは、合計330枚を超える大量の硬貨が発見されました。来園者が池をまるで賽銭箱のように扱い、投げ入れたコインをワニが飲み込んでいた実態が浮き彫りになっています。
発見された内訳は、10円玉が225枚と圧倒的に多く、5円玉が90枚、50円玉が11枚、10円玉が4枚と続き、合計金額は3,650円にも達していました。さらに、胃酸の影響でボロボロに溶けてしまった1円玉らしき塊や、ゲームセンターのコイン6枚も含まれていたのです。これらの金属類の総重量は約2.6キログラムに及び、ワニの小さな胃袋の中で長年蓄積されていたかと思うと、言葉を失うほどの驚きを禁じ得ません。
ワニが硬貨を飲み込む不思議な習性と「ガストロリス」の役割
なぜミッピーは、本来食べ物ではない硬貨をこれほどまでに飲み込んでしまったのでしょうか。実はワニには、消化を助けるために「胃石(いせき)」、専門的にはガストロリスと呼ばれる小石を胃に溜める習性があるのです。これらは、食べた肉や骨を胃の中で細かくすり潰す役割を果たします。ミッピーは池の底に沈んでいたキラキラと光る硬貨を、この胃石の一部として、あるいは興味本位で誤って口にしてしまったのでしょう。
SNS上ではこの報道を受け、「神様でもないのにお金を投げるなんて信じられない」「動物園でのマナーが問われるべきだ」といった批判の声が次々と上がっています。一方で、「縁起を担ぎたい気持ちはわかるけれど、相手が生き物だということを忘れないでほしい」と、動物の生態を知ることの重要性を説く意見も見られました。私たちの身勝手な願い事が、無邪気に生きる動物たちの健康を脅かしている事実は非常に重く受け止めるべきです。
ミッピーは1965年に東山動植物園へ来園し、2019年5月の死亡時には推定54歳を超える長寿を全うしました。獣医師の診断によれば、直接的な死因は老衰によるものと推測されており、幸いにも大量の硬貨が臓器不全を引き起こした形跡は確認されていません。しかし、2.6キロもの異物を抱えながら過ごした晩年が、彼にとって快適であったはずはなく、目に見えない負担があったことは容易に想像できるでしょう。
東山動植物園の獣医師は「ワニに硬貨を投げ入れても御利益はありませんので、どうか控えてください」と、切実な想いを込めて訴えています。本来、動物園は野生の姿を学び、命の尊さを感じる場所であるべきです。この記事を書く私自身の意見としても、自分勝手な幸福を祈るために他者の命を危険にさらす行為は、最も縁起の悪い行いであると感じます。今後、こうした悲劇が繰り返されないよう、来園者一人ひとりの意識向上が求められています。
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