就職活動に不可欠なインフラとも言える「リクナビ」が、学生の「内定辞退率」を予測したデータを企業側に販売していたという衝撃的なニュースが世間を騒がせています。2019年08月08日、根本匠厚生労働相はこの問題に対して厳格な姿勢を示しました。データを販売した運営会社だけでなく、その情報を購入していた38社についても、調査の対象に含めるべきだという認識を明らかにしたのです。
今回の事態で最大の焦点となっているのは、「職業安定法」という法律に基づいた個人情報の取り扱いです。これは求職者の秘密を守り、不当な差別を防ぐための重要なルールに他なりません。もし企業側が学生から適切な同意を得ずに、外部から購入したスコアを合否の判定材料にしていたのであれば、法律違反として厳しい行政指導を受ける可能性があるでしょう。利便性の裏側に潜む危うさが露呈した形です。
SNS上ではこの報道を受け、「自分の将来が勝手に数値化されていたと思うとゾッとする」といった悲痛な声や、「企業側もモラルを問われるべきだ」という怒りのコメントが相次いでいます。就活生は企業との間に圧倒的な情報の非対称性を抱えており、弱い立場にあります。その不安に寄り添うべきサービスが、逆に学生を値踏みするための道具を提供していたという事実に、多くの人々が強い不信感を抱いているようです。
専門用語である「予測データ」とは、ウェブ上の閲覧履歴などをAIが分析し、将来の行動を確率で弾き出したものです。しかし、一人の人間の決断を数字だけで決めつける行為は、個人の尊厳を損なうリスクを孕んでいます。私個人としては、テクノロジーの進化が人間の可能性を広げるのではなく、選別のための「壁」として機能してしまう現状に、強い危機感を抱かずにはいられません。
データの世紀における企業の社会的責任と問われる倫理観
2019年08月09日現在の状況を鑑みると、この問題は単なる一企業の不祥事にとどまらず、日本社会全体の「データの利活用」に対する姿勢を問う試金石となるでしょう。企業には、自社の利益を優先するあまり、学生の信頼を裏切っていないかを自問自答する誠実さが求められます。透明性の低いデータの売買は、結果として自社のブランド価値を大きく傷つけるブーメランとなりかねないのです。
これからの就職活動においては、AIやビッグデータがより深く浸透していくことが予想されます。だからこそ、私たちはテクノロジーが公平に運用されているかを監視し続ける必要があります。企業側は学生を単なる「リソース」として見るのではなく、一人の人間として向き合う原点に立ち返るべきではないでしょうか。信頼関係のない採用活動は、決して社会に真の豊かさをもたらさないはずです。
コメント