就職活動の要ともいえる「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、学生の「内定辞退率」を予測したデータを、本人の十分な同意を得ることなく企業へ販売していた衝撃的な事実が波紋を広げています。これを受けて厚生労働省は、2019年09月06日、人材ビジネス業界団体に対して個人情報の管理を徹底するよう、異例の強い要請を行う方針を固めました。同時に、同社に対しても職業安定法に基づく行政指導を行う見通しです。
今回の焦点となっている「内定辞退率」とは、過去の行動履歴や膨大なデータを人工知能(AI)などで分析し、ある学生が企業からの内定を断る可能性を数値化した指標のことです。就活生が自身の将来を左右する活動に励む裏で、知らないうちにその確率が「商品」として売買されていたという現実は、多くの人々に衝撃を与えました。行政指導とは、法律違反を未然に防いだり、是正させたりするために国が企業へ直接行うアドバイスや警告を指します。
SNS上では「企業を信じて入力したデータが、自分に不利な形で利用されるなんて裏切りだ」といった憤りの声が相次いでいます。また、「便利さの裏側に潜む情報の不透明さが怖い」といった懸念も広がり、トレンドワードには連日関連用語が並ぶ事態となりました。就職活動という人生の岐路に立つ若者たちの純粋な情熱が、ビジネスの道具として消費されてしまったことに対し、社会全体から厳しい視線が注がれているのは当然の結果でしょう。
私は、今回の問題は単なる一企業の不祥事ではなく、データ社会における「倫理観」が問われている重大な転換点だと考えています。効率化や予測精度の向上はビジネスにおいて重要ですが、その基盤には対象者との確固たる信頼関係が不可欠ではないでしょうか。特に、社会に出る前で立場が弱い学生たちの情報を扱うのであれば、透明性の確保は最優先事項です。技術の進歩が人間の尊厳を損なうことがあってはならないと、強く感じざるを得ません。
今後、厚生労働省の働きかけにより、求人情報サイト各社はこれまで以上に厳しいコンプライアンス、すなわち法令や社会的規範の遵守が求められることになるでしょう。2019年09月06日を境に、人材サービス業界は、利便性追求の裏で蔑ろにされがちだった「プライバシー保護」という基本に立ち返るべきです。学生が安心して夢を追いかけられる環境を取り戻すために、企業側には心からの誠実な対応と、抜本的な制度改革を期待したいところです。
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