日本の就職活動において、長年欠かせないインフラとして君臨してきた「リクナビ」が、今まさに大きな岐路に立たされています。運営会社であるリクルートキャリアが、学生の「内定辞退率」をAIで予測し、そのデータを企業に販売していたという衝撃的なニュースが世間を騒がせました。この深刻な事態を受け、名門・明治大学は2019年08月29日、今秋に開催される学内の就職ガイダンスにおいて、リクナビを学生に紹介しない方針を固めました。
今回の焦点となっている「内定辞退率」の予測とは、学生のサイト閲覧履歴などの行動ログを分析し、その学生が最終的に内定を断る可能性を数値化して企業に提供するサービスを指します。本来、学生の将来をサポートするはずの就活サイトが、裏側で学生を「商品」として扱い、選別するための材料を企業に流していたという構図は、極めて倫理的にも問題があると言わざるを得ません。就職という人生の岐路に立つ若者たちの信頼を裏切る行為は、教育機関としても看過できないレベルに達しています。
SNS上では今回の明治大学の決断に対し、「大学側の対応は極めて真っ当だ」「学生のプライバシーを売るようなサイトは利用したくない」といった共感の声が相次いでいます。一方で、就活生の多くは「リクナビを使わずに効率的な情報収集ができるのか」という不安を抱えており、利便性と倫理観の間で揺れ動いているのが実情です。これまで登録学生数の多さを最大の武器としてきた巨大サイトにとって、学生との接点となる大学との提携解消は、そのビジネスモデルを根底から揺るがす深刻な打撃となるでしょう。
情報リテラシーが問われる時代の「就活の在り方」
編集部としては、今回のリクナビ離れの動きは単なる一時的なボイコットではなく、就職活動におけるデータ活用の在り方を問い直す重要な転換点であると捉えています。技術が進歩し、ビッグデータを用いた予測精度が向上したとしても、それを「誰のために」「何のために」使うのかという哲学が欠落してしまえば、プラットフォームとしての価値は失われます。明治大学が2019年08月29日に示した毅然とした態度は、他の有力大学にも波及し、就職活動の仕組みそのものを再構築させるきっかけになるはずです。
学生の皆さんは、便利なツールが提示する情報の裏側でどのような処理が行われているのかを意識する、いわゆる「情報リテラシー」をこれまで以上に高める必要があります。企業側もまた、スコア化されたデータだけで学生を判断するのではなく、対面での対話を通じた誠実なマッチングを追求すべきではないでしょうか。2019年08月29日という日付は、日本の就活市場において「信頼」という見えない価値が、効率性よりも優先されるべきであることを再認識させた記念碑的な一日と言えるかもしれません。
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