2019年10月25日、世界を揺るがす驚天動地のニュースが米グーグルから飛び込んできました。同社の研究チームは、最先端のスーパーコンピューターでさえ約1万年の歳月を要する極めて複雑な計算問題を、新型の量子コンピューターがわずか3分20秒という驚異的な速さで解き明かしたと発表したのです。
この計算性能の差は、単純計算で約15億倍という途方もない数字に達します。研究グループはこの歴史的な成果について、1903年12月17日に成し遂げられたライト兄弟による有人初飛行の成功にも匹敵する人類の転換点であると、その意義を力強く強調しました。
SNS上では「ついにSFの世界が現実になった」「1万年が3分になるなんて想像もつかない」といった驚きの声が溢れ、科学技術の進歩に対する興奮が広がっています。この圧倒的な処理能力の差を目の当たりにすれば、多くの人々が未来の訪れを肌で感じるのも無理はないでしょう。
量子コンピューターがもたらす産業革命と国家間の覇権争い
そもそも量子コンピューターとは、原子や電子といった微細な世界を司る「量子力学」の法則を応用した計算機のことです。従来のコンピューターが「0か1か」という情報を順番に処理するのに対し、量子は「0と1が同時に存在する」という不思議な状態を利用して、膨大なデータを一気に並列処理することができます。
この画期的な手法が実用化されれば、AI(人工知能)の飛躍的な進化や、画期的な新素材・新薬の開発など、あらゆる分野で産業構造を根底から覆す変革が期待されるでしょう。膨大な組み合わせの中から最適解を見つけ出す能力は、私たちの社会が抱える複雑な課題を解決する鍵となります。
しかし、この技術は諸刃の剣としての側面も併せ持っています。現在のインターネット社会を支えている高度な暗号技術を一瞬で解読してしまう可能性が危惧されており、安全保障の観点からアメリカや中国、欧州などは国家の威信をかけて開発レースを繰り広げているのが現状です。
日本勢に目を向けると、実は量子コンピューターの基礎となる研究では世界をリードする立場にありました。しかし、近年の実用化に向けた投資や開発スピードにおいては、巨大IT企業を擁する海外勢に対して、どうしても出遅れ感が否めない状況が続いています。
編集者の視点から言わせていただければ、これは単なる計算速度の競争ではなく、次世代の「知識」と「安全」を誰が支配するかという、まさにデジタルの覇権戦争です。日本が培ってきた基礎研究の知見をどう実用に結びつけ、巻き返しを図るのか、今まさに正念場を迎えていると言えるでしょう。
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