2020年の大統領選挙まで残り1年を切り、アメリカ社会の分断はかつてないほど深まっています。2019年10月6日、アリゾナ州フェニックスで開かれた民主党の選挙集会では、不穏な空気が漂う出来事がありました。トランプ大統領を熱心に支持するイタリア系移民の女性が、民主党支持者に対して激しい口調で食ってかかったのです。彼女の怒りの矛先は、民主党の寛容な移民政策に向けられていました。正式な手続きを踏んで入国した合法移民からすれば、不法入国者を擁護する姿勢は到底受け入れられないのでしょう。
この対立は決して局地的なものではなく、国全体を覆う深刻な問題と言えます。実際、2018年に実施された世論調査では、より多くの移民を受け入れるべきだと回答した白人の民主党支持者が56%に達しました。対照的に、共和党の白人支持者で賛同したのはわずか1割にとどまっています。SNS上でも「#アメリカの分断」というハッシュタグとともに、連日のように激しい議論が交わされる状況です。「移民は国の宝だ」という声がある一方で、「法律を守らない者をなぜ優遇するのか」といった批判も多く見受けられます。
選挙制度に潜む思惑とマイノリティーへの抑圧
さらに事態を複雑にしているのが、マイノリティーと呼ばれる少数派の投票権をめぐる問題です。2019年10月7日には、フロリダ州の連邦地裁前で激しい抗議活動が行われました。同州では共和党が主導して元受刑者の選挙権回復条件を厳しくした結果、ヒスパニック系や黒人層を中心に約100万人もの人々が投票を阻まれています。ノースカロライナ州でも、特定政党に有利なように選挙区の境界線を恣意的に引き直す「ゲリマンダー」という手法が用いられ、黒人の票が不自然に分散させられる事態が発生しました。
こうした露骨な動きの背景には、マジョリティーである白人層の切実な恐怖感が潜んでいると考えられます。米国勢調査局の予測によると、2045年には非ヒスパニック系の白人が総人口の半分を下回る見通しです。かつてオバマ政権が誕生したことで、一部の白人が抱く危機感は決定的なものになりました。私は、多様性こそがアメリカの最大の強みであると信じて疑いません。しかし、人口減少に対する過度な不安が排他主義を生み出す現状は、非常に危険な兆候だと感じます。このままでは、民主主義の根幹すら揺らぎかねません。
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