2019年11月22日の朝、衆議院第2議員会館の静かな一室に、日本の政治を動かす野党のキーマンたちが集結しました。立憲民主党の逢坂誠二氏や国民民主党の泉健太氏ら、4つの野党勢力の政策責任者が一堂に会したのです。今国会からスタートした「共同会派」は、かつてのバラバラな野党像を払拭する新たな挑戦ですが、その内情は決して一枚岩ではありません。各党の主張をどうすり合わせ、一つの大きなうねりを作るのか。彼らは毎週1回、非公式ながらも真剣な議論を重ねる「腹合わせ」の場を設けています。
今回の会合では、会社法改正案に対して「政府が野党の修正案を全面的に受け入れたため、賛成に回ろう」という合意形成が行われました。現在の共同会派において、法案への賛否は各党が個別に判断するのがルールとなっており、逢坂氏は「始まったばかりの試行錯誤の状態」であると現状を語っています。この慎重な姿勢は、かつて民主党などが採用していた強力な組織体制とは一線を画すものです。SNS上では「野党がまとまるのは良いが、具体的に誰が何を担うのか見えにくい」といった声も上がっており、期待と不安が入り混じっています。
「次の内閣」という夢の跡と、英国流システムの現実
かつての民主党や民進党には「次の内閣(シャドーキャビネット)」という、非常に明快なシステムが存在していました。これは、政権交代を見越して野党側が「次の首相」「次の官房長官」といった役職をあらかじめ決めておく擬似的な内閣制度です。1876年にイギリスで始まったこの仕組みは、議会制民主主義の模範とされています。しかし、日本での運用は容易ではありませんでした。2009年の政権交代時、実際に「次の内閣」からそのままのポストで入閣できたのはごく僅かであり、現在では「人事案を示しても絵空事に過ぎない」という冷ややかな意見が党内からも漏れています。
私は、この「次の内閣」が機能不全に陥っている現状を非常に危惧しています。有権者が野党に期待するのは、単なる反対勢力ではなく「いつでも代わりの政権を担える準備ができている」という安心感だからです。イギリスでもEU離脱問題を巡る混乱により、野党・労働党の影の内閣への注目が薄れていると指摘されていますが、それでも「誰が責任を持って政策を語るのか」が明確であることの意義は消失していません。人選が形骸化することを恐れず、大胆に次代のリーダーを提示する勇気が今の野党には必要ではないでしょうか。
疑惑追及か政策論争か?模索が続く国会ヒアリングの行方
法律案の審議を行う「政調」の場に代わり、現在存在感を増しているのが「国会ヒアリング」です。これは法律に基づかない場でありながら、2018年から累計281回も開催され、政府の疑惑を追及する主戦場となっています。最近では日米貿易協定や台風被害への対応など、政策分野でもこのヒアリングが活用されるようになりました。しかし、疑惑の追及に偏りすぎるあまり、本来の役割である「法案を磨き上げる審議」との境界線が曖昧になっている点は否定できません。
野党が政府に対して「嘘をついているのではないか」と厳しい目を向けるのは、民主主義のチェック機能として不可欠な行為です。ただ、共同会派としての一体感を醸成し、国民から真に信頼される存在になるためには、追及の手を緩めずとも、それと並行して「我々ならこう変える」という建設的な対案を、組織として一貫性を持って提示しなければなりません。2019年11月現在、野党はまさにそのアイデンティティを再構築する、産みの苦しみの真っ只中にいると言えるでしょう。
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