「住みたい街」として常に上位にランクインする恵比寿。その象徴とも言える「恵比寿ガーデンプレイス」が、二〇一九年秋、新たなビジネスの震源地として生まれ変わろうとしています。二〇一九年五月二十八日の報道によりますと、サッポロホールディングスの中核企業であるサッポロ不動産開発が、革新的なアイデアで急成長を目指す「スタートアップ企業」を主な対象とした、大規模なコワーキングスペース(共用オフィス)を開設することを発表しました。
「コワーキングスペース」とは、単に机や椅子を共有するだけのレンタルオフィスとは異なります。多様な業種や背景を持つ人々が同じ空間で働くことで、自然な交流が生まれ、そこから新たなビジネスチャンスやイノベーションが創出されることを目的とした「共創の場」を指します。今回の計画では、恵比寿ガーデンプレイス内の高層ビル地下階(約千五百三十平方メートル)の一部を改装し、二百五十から三百人規模の人々が働き、交流できる先進的な空間を提供するとのことです。
二〇一九年夏に改装工事を開始し、同年十月の開業を目指すこの新施設。高速通信Wi-Fiといった最先端の通信環境を整備するのはもちろん、一業種一社といった制限を設けず、幅広い企業の入居を呼びかける方針です。サッポロ不動産開発の時松浩社長は、IT企業が集積する渋谷「ビットバレー」との違いを強調しています。渋谷の喧騒とは一線を画す、恵比寿ならではの「ゆとりのある空間」や「落ち着いた雰囲気」こそが、感度の高い経営者を引きつける魅力になると分析されているのです。
このニュースに対し、SNS上では「あのガーデンプレイスにコワーキングができるのは熱い!」「渋谷の雑多な感じより、恵比寿でじっくり事業を練りたい人には最適かも」「サッポロの本気度が伝わる。賃料が気になるけど、環境は最高だろうな」といった期待や関心の声が早くも集まっています。確かに、洗練された街でビジネスに集中できる環境は、大きな付加価値となるでしょう。
私自身、この取り組みは非常に慧眼(けいがん)だと思います。一九九四年に全面開業した恵比寿ガーデンプレイスは、二〇一九年十月で開業二十五周年という大きな節目を迎えます。このタイミングで、従来の「集客施設」という枠を超え、「ビジネス創出のプラットフォーム」へと舵を切る決断は、時代の要請を的確に捉えたものと言えます。成功の鍵は、運営を委託する外部企業の手腕と、いかに質の高いコミュニティを醸成できるかにかかっていると私は考えます。
サッポロ不動産開発は、二〇一八年十二月期決算で百二十億円もの営業利益を上げ、グループの国内酒類事業をも上回る「稼ぎ頭」です。その優良企業が、単なる賃料収入に留まらない、未来への投資としてコワーキング事業に乗り出す意義は大きいでしょう。恵比寿が、渋谷とは異なる魅力を持つ「起業しやすい街」として、新たなブランドを確立できるのか。この秋の開業を、大きな期待を持って見守りたいと思います。
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