印刷業界の巨頭である凸版印刷が、人工知能(AI)を武器にビジネスの最前線を塗り替えようとしています。同社はAI開発を手掛けるAWL(アウル)と強力なタッグを組み、小売業の販促を劇的に進化させる「AIカメラ」による新サービスの展開を発表しました。慢性的な人手不足に悩む現代社会において、この試みは単なる技術導入を超えた、次世代の「省人化」と「収益化」を両立する切り札として注目を集めています。
現在、凸版印刷の社内売店では、未来を予感させる実証実験が進められています。店舗に設置されたAIカメラが、来店客の性別や年齢などの「属性」を瞬時に識別し、どの棚に立ち寄ったかという行動データを収集しています。驚くべきは、その分析結果をデジタルサイネージと連動させ、目の前のお客様が今まさに興味を持ちそうな広告をリアルタイムで配信する仕組みです。この「個に最適化された提案」が、購買意欲を強力に刺激するでしょう。
SNS上では、このハイテクな店舗体験に対し「SF映画の世界が現実になった」「自分の好みを察してくれる買い物は楽しそう」といったポジティブな反応が相次いでいます。従来、店頭での販促活動がどれほど売上に寄与したかを正確に測定することは至難の業とされてきました。しかし、このシステムは、お客様が広告を見た後に実際に商品を購入したかという「効果検証」までを自動化します。まさに、小売りの現場における革命と言えるのではないでしょうか。
凸版印刷のAI戦略は、店舗の「外」だけではありません。金融機関向けに開発された「AI校閲・校正支援システム」も、大きな期待を背負っています。これは、企業独自のルールや複雑な専門用語をAIに学習させ、文章の誤りを自動でチェックする画期的なツールです。専門用語とは、特定の職業や分野で使われる特殊な言葉のことで、金融業界では特にその扱いが難しく、これまでは熟練した担当者による多重チェックが欠かせませんでした。
このシステムを導入すれば、制作者ごとの品質のバラつきを抑え、チェック作業の負担を大幅に軽減することが可能になります。2019年12月10日時点で、同社は2020年度までに20社への導入を目指し、2022年度までに関連受注を含めて累計100億円の事業規模に育てるという壮大なビジョンを描いています。私は、こうした事務作業の自動化こそが、人間がよりクリエイティブな仕事に集中するための「真の働き方改革」に繋がると確信しています。
ライバルである大日本印刷(DNP)も、雑誌のレイアウトをAIで自動生成する技術を開発するなど、業界全体でAI競争が激化しています。ICTの急速な発展により、従来の「紙」を主体としたビジネスモデルは大きな転換点を迎えているのが現状です。AIを駆使して新たな付加価値を生み出そうとする凸版印刷の攻めの姿勢は、印刷業界の枠を超えて、あらゆる産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を牽引していくに違いありません。
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