2019年12月02日、世界の経済界を揺るがすニュースがワシントンから飛び込んできました。米通商代表部(USTR)は、フランスが先行導入した「デジタルサービス税」が米国のIT企業を不当に差別しているとする調査報告書を公表したのです。これにより、フランスを代表する特産品に対して最大100%という、極めて異例の制裁関税が検討される事態となりました。
このニュースに対し、SNS上では「大好きなフランス産のチーズやワインが倍の値段になるなんて信じられない」といった消費者の悲鳴や、「GAFAを守るための強硬手段が露骨すぎる」といったトランプ政権の姿勢に対する驚きの声が広がっています。私たちの食卓を彩るお馴染みの品々が、国家間のデジタル覇権争いの「人質」に取られた形と言えるでしょう。
「通商法301条」という最強のカード
今回、米国が発動の根拠としている「通商法301条」とは、他国の不公正な貿易慣行に対して、大統領の判断で強力な報復措置を取ることを認めた米国内の法律です。USTRは、フランスの課税がグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンのいわゆる「GAFA」を狙い撃ちにしていると認定し、国際的な課税ルールから逸脱していると厳しく指弾しました。
制裁の対象としてリストアップされたのは、高級なスパークリングワインやチーズ、そしてハンドバッグなどを含む全63品目です。これらはフランスにとって象徴的な輸出産業であり、そこに最大100%の関税を課すという計画は、フランス経済の心臓部を直接狙った宣戦布告に近いものと言えるでしょう。対象規模は24億ドル(約2600億円)にも上る見通しです。
そもそも「デジタル税」とは、物理的な拠点を持たなくても利益を上げられるIT企業に対し、そのサービスが提供された場所で売上高に応じて課税する仕組みを指します。2019年07月にフランスがいち早く導入を決めましたが、トランプ政権はこれを「自国企業への嫌がらせ」と捉えて反発しており、今回の強硬策で即時の撤廃を迫る狙いがあると考えられます。
泥沼化する米欧摩擦のゆくえ
私個人の見解としては、デジタル経済への課税という公平性が求められる問題が、単なる貿易制裁の道具へとすり替わってしまっている現状には大きな危惧を覚えます。現在は経済協力開発機構(OECD)を中心に、2020年01月の合意を目指して国際的な共通ルール作りが進められています。多国間の話し合いを待たず、制裁で強引に解決を図る手法は、自由貿易の秩序を揺るがしかねません。
今後は、2020年01月中旬まで産業界からの意見公募が行われ、その後に実際の発動判断が下される予定です。米国はイタリアやオーストリアに対しても同様の調査を検討しており、この火種は欧州全体へ広がる気配を見せています。美食やファッションを楽しみたい一般消費者にとっても、この動向からは一刻も目が離せない状況が続くでしょう。
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