日本郵政の未来はどうなる?かんぽ不祥事後の新体制と問われる「官民」の壁、株主が求める成長戦略への本音

日本郵政グループは、かんぽ生命保険における不適切な契約販売という大きな問題を契機に、経営陣の刷新を行いました。日本郵政、かんぽ生命、日本郵便の3社を率いるトップが揃って退任し、2020年1月6日付で新たな3人の社長が就任することとなったのです。しかし、この人事が今、インターネット上やSNSでも大変な議論を巻き起こしています。期待よりも不安の声が目立っているのが現状でしょう。

ネット上で特に注目されているのは、新社長3人が全員「元官僚」であり、民間企業での経営経験が一度もないという点です。SNSでは「また天下りなのか」「これでは本当の組織改革など期待できないのではないか」といった厳しい意見が相次いで投稿されています。これまでの古い体質から抜け出せないのではないかという国民の根強い不信感が、露骨に表れた形といえます。

こうした世間の逆風が吹く中、日本郵政の増田寛也新社長は、2020年1月9日に記者会見を行いました。増田氏は会見の場で「危機管理という点において、官と民の間に違いはない」と強調しています。さらに、自身の果たすべき使命は、不祥事によって生じた「マイナスを元に戻すことだ」と語りました。しかし、肝心の今後の成長戦略について質問が及ぶと、具体的な方針は示されませんでした。

増田新社長は「まずは足元を固めることに集中したい」と述べるにとどまり、将来のビジョンについては口を閉ざしたままです。ただ、日本郵政はすでに株式の43パーセントを一般株主が保有する、立派な上場企業であることを忘れてはなりません。上場企業のトップである以上、企業の価値をどのように持続的に高めていくのかを、株主に対して明確に説明する責任があるはずです。

富を創造することこそが企業の責務であり、ましてや増田氏は過去に総務大臣や郵政民営化委員会の委員長を歴任した人物です。そのような経歴を持ちながら、なぜ今この瞬間に成長戦略を語ることができないのか、疑問が残ります。現在の日本郵政は、総資産に対する利益の割合を示すROA(総資産利益率)が0.3パーセント弱と、非常に収益性が低い状態に喘いでいます。

さらに、今期の経常利益は前の期に比べて15パーセント減る見込みとなっており、台所事情は極めて厳しいと言わざるを得ません。加えて、年初から発生している米国とイランの軍事的な対立により、金融市場は大きく揺れ動いています。巨額の有価証券を運用する日本郵政が、こうした市場の変動に対して、どのようなリスク管理を行っているのかは不透明なままです。

企業の危機管理とは、保険の不正販売を防ぐことだけではありません。事業に潜むリスクをコントロールし、いかにリターンを得るかが経営の本質なのです。もしも収益の確保を後回しにするのであれば、それこそ「官と民の違い」そのものと言えるでしょう。経営のプロではない元官僚のトップたちが、市場の荒波から株主の利益を守り抜けるのか、非常に不安が残るところです。

今回の人事の背景では、高市早苗総務大臣が行政処分案の漏洩問題を巡り、事務次官を更迭するという毅然とした態度を示しました。この対応は「官民のなれ合い」を断ち切る英断として評価できますが、その直後に誕生した新体制のトップが全員元官僚というのは、矛盾を感じざるを得ません。編集部としては、取締役会に「モノ言う経済人」を迎え、真の民間経営を行うべきだと強く主張します。

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