日本郵政グループが揺れています。かんぽ生命保険による不適切な販売問題が発覚してから約半年、ついに2019年12月27日、経営陣がその責任を取る形で3社長の同時辞任が発表されました。これまで事態の収拾を模索してきた民間出身のトップたちでしたが、金融庁と総務省から下された極めて厳しい行政処分を前に、続投の道は完全に閉ざされる結果となったのです。SNSでは「信頼回復には時間がかかる」「組織の体質そのものが問題」といった厳しい声が相次いでいます。
今回の騒動で引導を渡されたのは、日本郵政の長門正貢社長、かんぽ生命の植平光彦社長、日本郵便の横山邦男社長の3名です。彼らは金融界から招かれたプロ経営者でしたが、巨大な郵政組織を掌握しきれなかった印象を拭えません。当初、後任の不在を理由に留任論もありましたが、保険料の二重徴収など顧客の不利益が疑われる契約が18万3000件にも上る実態が明らかになり、もはや経営責任の明確化は避けられない情勢となっていました。
「生え抜き」元官僚への回帰と、露呈した情報漏洩問題
民間出身のリーダーが去った後、組織を託されたのは「生え抜き」と呼ばれる元官僚たちでした。2007年の郵政民営化当時から組織を支えてきた彼らに対し、一部からは現場の士気を高めるための登用として期待する声が上がっています。しかし、その裏では醜い権力争いと不祥事も影を落としていました。行政処分の内容を巡り、あろうことか現役の総務次官が日本郵政側の元官僚に情報を漏らすという前代未聞の事態が2019年12月に発覚したのです。
この情報漏洩により、2019年12月20日には鈴木茂樹総務次官が辞任に追い込まれ、高市早苗総務相も「旧郵政省OBの登用にはマイナス面が大きい」と苦言を呈しました。ここで言う「天下り」とは、公務員が退職後にその職務と関連の深い民間企業や団体に再就職することを指します。公平な規制を行うべき役所と、監視される側の企業が密接になりすぎることへの不信感は、ネット上でも「癒着の構造が変わっていない」と強い批判を浴びています。
最終的に、日本郵政の新たなトップには元総務相の増田寛也氏が選ばれました。官僚出身であり、行政経験も豊富な彼に組織の浄化が期待されています。しかし、郵便事業の収益低下やマイナス金利といった厳しい経営環境を、行政の論理で乗り切れるのかは未知数でしょう。私は、今回の人事が単なる「時計の針を戻す」だけの結果にならないか危惧しています。民間感覚での改革に失敗し、再び官僚主導へ戻る姿は、真の民営化への道のりが遠いことを物語っているようです。
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