2019年12月2日、世界の経済秩序に再び緊張が走りました。米通商代表部(USTR)は、欧州連合(EU)が航空機大手のエアバス社に対して行っている補助金が不当であるとして、現在実施している報復関税の対象をさらに拡大する検討に入ったことを明らかにしました。これは、世界貿易機関(WTO)が米国の主張を正当と認める裁定を下したことを受けた動きであり、トランプ政権によるEUへの圧力は一段と強まる様相を呈しています。
そもそも「報復関税」とは、相手国の不公正な貿易慣行によって自国が不利益を被った際、その対抗措置として輸入品に高い税金を課す仕組みを指します。今回の騒動の引き金となったのは、EUによるエアバスへの公的支援です。米国側はこれが市場の公正な競争を妨げていると長年訴えてきました。WTOは同日、EU側がこれまでの是正勧告に従いルールを遵守しているという主張を退けており、米国の言い分に改めてお墨付きを与えた形となります。
トランプ政権はすでに2019年10月から、フランスやドイツ産のワインやチーズといった食料品に加え、航空機本体に対しても10%から25%の上乗せ関税を課しています。今回の発表によれば、関税率のさらなる引き上げや対象品目の追加について、今週内にも具体的な詳細が公表される見通しです。SNS上では「愛飲している欧州ワインがさらに値上がりするのではないか」といった消費者の悲鳴や、泥沼化する貿易紛争への懸念が急速に広がっています。
この問題の根底には、米国のボーイングと欧州のエアバスという、航空機産業の二大巨頭による15年以上に及ぶ長い対立が存在します。EU側も黙ってはいません。彼らは逆に、米国政府によるボーイングへの補助金こそが不当であると批判しており、WTOの承認が得られ次第、米国製品に対して報復関税を仕掛ける準備を進めています。まさに「目には目を」という報復の連鎖が、大西洋を挟んだ経済圏全体を飲み込もうとしているのです。
編集者の視点から言えば、今回の措置は単なる航空機業界の争いに留まらず、米国の保護主義的な姿勢を改めて浮き彫りにしたものだと感じます。ワインやチーズといった一般消費者に身近な品目が人質に取られる現状は、自由貿易の理念から遠ざかっていると言わざるを得ません。週内に発表される詳細内容次第では、年末のマーケットに冷や水を浴びせる可能性も十分に考えられるため、私たちはこの動向から一瞬たりとも目が離せないでしょう。
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