アメリカとフランスの間で、IT業界を揺るがす大きな緊張が走っています。米通商代表部(USTR)は2019年11月27日、フランスが独自に導入した「デジタルサービス税」に関する調査報告書を、2019年12月2日に公表すると発表しました。もしこの税制が不当な差別であると結論付けられれば、アメリカは強力な対抗措置を打ち出す方針です。
今回の騒動の鍵を握る「通商法301条」とは、外国による不公正な貿易慣行に対して、大統領の判断で関税引き上げなどの制裁を下せる法律です。中国との貿易摩擦でも猛威を振るったこの条項が、今度は同盟国であるフランスに向けられようとしています。SNS上では「GAFAを守るための強硬手段だ」と、トランプ政権の姿勢に注目が集まっています。
フランスの「デジタルサービス税」が招いた米仏の対立
事の端端は、フランス政府が2019年7月に世界に先駆けて導入した新税制にあります。これは、一定以上の世界売上高を持つ巨大IT企業に対し、フランス国内でのネット広告やデータ転送などの売上から3%を徴収する仕組みです。フランス側は「適正な課税だ」と主張しますが、アメリカ側は自国の巨大IT企業を狙い撃ちにした不当な攻撃だと捉えています。
現在、デジタル課税についてはOECD(経済協力開発機構)を中心に、2020年1月までの国際的な枠組み合意を目指して議論が続いています。アメリカとしては、多国間での話し合いを無視してフランスが「フライング」で課税を始めたことが許せないのでしょう。この強引な先制パンチに対し、トランク政権は追加関税という「盾」を構えて対抗しています。
編集者としての視点では、この問題は単なる税金の話ではなく、デジタル経済の覇権争いそのものだと感じます。物理的な国境がないネットの世界で、どこで稼いだ利益に誰が課税するのかというルール作りは急務です。しかし、一方的な関税措置は世界経済の冷え込みを招きかねません。2019年12月2日の報告書が、新たな貿易戦争の号砲にならないことを願うばかりです。
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