2019年12月12日、投資家やビジネスパーソンの間で大きな話題を呼んでいる興味深いレポートが発表されました。みずほ証券の稲垣真太郎マーケットエコノミストらが、その年に流行した言葉と、国の経済活動の規模を示す「名目GDP成長率」との関連性を調査したのです。私たちの日常会話を彩る流行語が、実は日本の未来を占う重要な先行指標になるかもしれないという衝撃的な内容が含まれています。
今年の「現代用語の基礎知識選 2019ユーキャン新語・流行語大賞」では、ラグビーW杯の熱狂を象徴する「ONE TEAM(ワンチーム)」が見事に大賞に輝きました。華やかな話題が多かった印象ですが、トップ10の顔ぶれを冷静に眺めてみると少し様子が異なります。SNS上でも「確かに今年は重い言葉が多かった気がする」「ラグビーは明るいけど、他は社会問題ばかりだ」といった、どこか不安を感じさせる声が散見されました。
実際にリストを振り返ると「計画運休」や「免許返納」、さらには「闇営業」といった、危機管理や社会の歪みを象徴するワードが並んでいることに気づかされます。分析チームは、コンピューターで人間の言語を読み解く「自然言語処理」という高度な技術を用いて、これらの言葉を解析しました。これは言葉の持つニュアンスを数値化する手法で、AIが文脈からポジティブかネガティブかを判別するものと言い換えられます。
流行語スコアが示す3年先の未来予測
解析の結果、2019年の流行語は合計で「マイナス164」という衝撃的なスコアを叩き出しました。2018年の「マイナス15」と比較すると、ネガティブな要素が急激に強まっていることが一目瞭然です。流行語はまさにその時代の空気感や消費者の本音を映し出す鏡であり、人々の心理が冷え込んでいる状況が、この数字に如実に表れていると考えるのが妥当でしょう。
さらに注目すべきは、このスコアが翌年だけでなく、数年先の名目GDP成長率とも深い関わりを持っている点です。稲垣氏の指摘によれば、ネガティブな言葉が上位を占めると、その後3年ほどは景気が上向きにくい傾向があるといいます。つまり、2019年末の今、私たちが目にしている言葉たちは、2020年以降の長期にわたる経済の停滞を予兆している可能性を秘めているのです。
私自身の見解としても、言葉が持つエネルギーを侮ることはできないと感じています。消費者が「計画運休」で移動を控え、「免許返納」で行動範囲を狭め、「闇営業」という不透明さに不信感を抱く社会では、財布の紐が固くなるのは当然の帰結です。一見すると経済とは無縁に思える流行語ですが、そこには統計データには現れにくい「人々の実感」が詰まっており、未来を見通すための重要なヒントが隠されているのです。
コメント