2019年6月21日、大阪市内で開催された伊藤忠商事の定時株主総会において、今年1月から3月にかけて実施されたデサント株へのTOB(株式公開買い付け)の経緯と、今後の両社の協業戦略について、異例の特別映像を通じて詳細な説明がなされました。2,717名もの株主が参加したこの総会は、デサントとの関係について尋ねる株主からの質問がきっかけとなり、約5分間にわたる映像が放映される運びとなったのです。
映像では、伊藤忠がデサントの資本政策に関与し、過去2度にわたる経営危機をサポートしてきた歴史的な背景から紹介されました。一方で、デサントの収益構造が韓国市場に大きく依存していたことや、業績目標の下方修正が相次いでいたという経営上の課題も正直に説明されています。こうした現状を踏まえ、伊藤忠はTOBという手段を通じて、デサントの企業体質を改善し、真の成長軌道に乗せる必要があると判断したのでしょう。しかし、株式の取得割合を発行済み株式の40%に抑えたのは、デサントが持つ自主独立性を尊重し、クリエイティブな社風を維持するためだという、伊藤忠の配慮がうかがえます。
私が編集者として注目したいのは、今後の成長戦略の鍵として、映像内で中国市場が強く強調された点です。現在、デサントは韓国を中心にシューズ分野で一定の成功を収めておりますが、伊藤忠が中国事業で組む安踏体育用品(ANTA)は、自社でシューズ生産体制を持つ巨大な合弁相手なのです。この中国での生産・販売ノウハウを応用すれば、デサントのシューズビジネスは韓国を飛び出し、世界展開へと飛躍する可能性を秘めていると、伊藤忠は高い期待感を表明しました。これは、日本のスポーツブランドが世界で再び輝くための、大きな一歩になるのではないでしょうか。
映像を補足した諸藤雅浩常務執行役員は、今後、東京五輪などのスポーツの祭典が目白押しであることを背景に、デサントとの協力体制を強め、企業価値を高めていく決意を述べています。具体的な中期経営計画については、新たなデサントの経営陣が策定し発表する予定です。スポーツアパレル業界において、デサントと伊藤忠のタッグがどのような相乗効果を生み出すのか、今後の動向から目が離せません。
コンビニ事業の革新:24時間営業問題への回答
また、この総会では、2018年に子会社化を完了したユニー・ファミリーマートホールディングスの、コンビニエンスストア事業についても質問が寄せられました。特に、社会的な課題となっている「コンビニの24時間営業問題」に対する、今後のビジネスモデルに関心が集まっていたと言えるでしょう。
これに対し、岡藤正広会長兼最高経営責任者(CEO)は、具体的な回答を控えながらも、「次の新しいステージのビジネスをやる。もうしばらくみていてほしい」と述べ、従来のコンビニの枠を超えた、革新的なビジネスモデルを構築する意向を示唆しました。既存の枠組みにとらわれず、社会の変化に対応した新しいビジネスを展開しようとする伊藤忠の姿勢は、極めて挑戦的であり、期待感が高まります。デサントの成長戦略に加え、コンビニ事業の改革についても、伊藤忠の総合商社としての底力が試されることになるでしょう。
この一連の報道を受けて、SNSでは「デサントのシューズが世界で戦えるようになるのは楽しみ」「伊藤忠の経営手腕に期待したい」といった、前向きなコメントが多く見受けられました。特に、安踏体育用品(ANTA)との連携による中国市場の開拓とシューズ事業のグローバル化という方向性は、日本のブランドが世界的な競争力を取り戻すための現実的な戦略として、多くのユーザーから注目を集めているようです。

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