2019年5月27日に欧米の自動車大手であるフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が、フランスのルノーに経営統合を提案した件で、新たな展開が見えてきました。2019年6月2日、ロイター通信が報じたところによりますと、FCAはルノーとの統合を確実に前進させるため、ルノーの筆頭株主であるフランス政府の懸念に配慮した譲歩案を交渉している状況です。この動きは、巨大な合併によって誕生する見込みの「世界第3位の自動車メーカー」の実現に向けた、非常に重要な局面を迎えていることを示唆しています。
当初の提案では、新会社の登記上の本社はオランダに置かれ、取締役11人のうちFCAとルノーからそれぞれ4人、そしてルノーと提携関係にある日産自動車から1人を指名するとしていました。しかし、ルノーの経営に強い影響力を持つフランス政府がこの案に難色を示したため、今回の譲歩案が浮上したと言えるでしょう。特にフランス政府は国内の雇用に対する影響を深く憂慮しており、この懸念を和らげることが統合成功の鍵となっています。
ロイター通信が関係者の話として伝えた新たな譲歩案には、フランス政府からの取締役受け入れが含まれている模様です。ルノーにはフランス政府と日産自動車がそれぞれ15パーセント出資していますが、元の案ではフランス政府に取締役ポストが配分されていなかったことから、政府内での不満が高まっていたとされています。今回の譲歩は、政府が求める経営への関与を認める形となり、統合への賛同を得るための重要な一手となるでしょう。
また、譲歩案には、実質的な本社機能をフランス国内に置くことも含まれていると報じられています。FCA自体、旧フィアット(イタリア)と旧米クライスラーが統合した際、登記上の本社をオランダに置きつつ、イタリアのトリノと米デトロイトで事業を実質的に運営してきた経緯があります。これと同様に、今回は登記上の本社はオランダのまま維持しつつ、主要な業務を行う拠点をフランス国内に設けることで、フランス国内の雇用維持に対する配慮を示す狙いがあるようです。
このほかにも、工場での雇用維持を保証する期間の延長や、ルノーの株式評価について見直すことも交渉の対象となっているとの情報があります。これらはすべて、フランス政府が抱く「国益の保護」という強い意向に応えるための具体的な手段です。ルノーの取締役会は2019年6月4日にも開催される予定で、このFCAとの経営統合案について話し合い、独占的な協議に入ることを正式に決定する可能性が高まっています。
もし、この巨大な統合が実現すれば、トヨタやフォルクスワーゲンに匹敵する、世界自動車産業の勢力図を塗り替える巨大企業が誕生することになります。自動車業界は今、電動化や自動運転技術といった100年に一度の変革期、すなわち「CASE」(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)への対応が急務です。この統合は、開発費の高騰に対抗し、技術競争力を一気に高めるための戦略的かつ必然的な選択であると考えられます。
個人的な見解としては、ルノーとFCAの統合は、両社だけでなく、ルノーとアライアンスを組む日産自動車にも大きな影響を与えるでしょう。特に、日産自動車が新会社の取締役を指名することからも、その関係性の重要さが窺えます。このメガ・アライアンスは、将来的に日産を含む3社の技術や生産における相乗効果、いわゆる「シナジー」を最大限に発揮し、グローバルな自動車市場において優位性を確立する起爆剤となることを期待しています。
SNS上では、「仏政府の要求は当然だ」「ルノーの雇用を守るために必要な交渉」「世界3位が本当に誕生したら面白くなる」といった反応が多く見られ、今回の譲歩案に対する世間の関心の高さが伺えます。ルノーの決断と、その後の日産との関係性を含めた動きは、今後数年間の自動車業界の潮流を決定づけると言っても過言ではないでしょう。
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