原油高と減産でベンゼン価格が2カ月ぶりに上昇!基礎化学品の需給バランスと今後の展望

私たちの身の回りにある合成樹脂やゴム製品の「源」とも言える基礎化学品、ベンゼンのアジア向け価格に動きがありました。2019年12月05日、指標となるJXTGエネルギーの12月契約価格が1トンあたり665ドルに決定し、前月と比較して20ドル、率にして3%の上昇を記録しています。この値上がりは2カ月ぶりのことで、停滞していた市場に変化の兆しが見えてきました。

今回の価格上昇の背景には、原材料である原油価格の底堅い推移に加え、生産現場での戦略的な「稼働率引き下げ」が大きく影響しています。専門用語である「基礎化学品」とは、石油や天然ガスを原料に作られるエチレンやベンゼンなどのことで、あらゆる工業製品の出発点となる重要な物質です。この供給量が絞られたことで、市場の需給がタイトになり、価格を押し上げる結果となりました。

SNS上では、製造業に関わるユーザーから「原材料費の上昇が利益を圧迫しないか心配だ」という声が上がる一方で、「市況が動くことでようやくデフレ感から脱却できるのではないか」といった期待混じりの意見も見受けられます。特に、トルエンを原料にしてベンゼンやパラキシレンを生成するプラントの動きが注目されており、業界関係者の間でも今後の生産動向に強い関心が寄せられているようです。

興味深いのは、合成繊維の原料となるパラキシレンの需給状況がベンゼンに波及している点でしょう。世界的にプラントの新設が相次いでいますが、世界経済の減速懸念から需要の伸びは想定を下回っています。そのため、過剰在庫を避けるべくガソリン基材としてのトルエン需要へシフトする動きが加速し、結果としてベンゼンが減産されるという、化学業界特有の連鎖反応が起きているのです。

しかし、楽観視できない側面も存在します。アジア全体で見ると、建築用資材や産業用樹脂の需要は依然として力強さを欠いており、合成樹脂の余剰感は根強く残ったままです。供給側がどれほど生産を絞ったとしても、最終製品の買い手がつかなければ、価格の持続的な上昇は難しいでしょう。新設プラントの稼働開始も控えており、価格の上値は限定的だという冷ややかな見方も根強くあります。

私個人の意見としては、今回の価格上昇はあくまで一時的な調整の域を出ないのではないかと考えています。世界的な経済情勢が不安定な中で、供給側のコントロールだけで価格を維持するのは限界があるからです。国内の想定価格も1キロあたり78.2円と2.8円上昇していますが、実需が伴わない「コストプッシュ型」の値上げは、最終的には末端価格への転嫁という形で消費者の負担に繋がりかねません。

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