トヨタ・VWの「1000万台クラブ」が独走!2019年7〜9月期決算で見えた自動車業界の残酷な格差と生き残り戦略

世界的な景気の冷え込みが鮮明となる中、自動車業界の勢力図に決定的な「壁」が現れました。2019年12月07日、世界の主要自動車メーカー15社の2019年7月1日から2019年9月30日までの決算が出揃いましたが、その内容はまさに明暗を分ける結果となっています。全体の純利益が前年比で1割も減少する逆風の中で、トヨタ自動車と独フォルクスワーゲン(VW)の2強だけが、異次元の収益力をせめぎ合っているのです。

SNS上では「やはり規模こそ正義なのか」「1000万台クラブの壁が厚すぎる」といった、大手2社の圧倒的な資本力に対する驚きの声が広がっています。米中貿易摩擦の激化や中国市場の失速により、多くのメーカーが苦境に立たされる中、なぜこの2社だけが笑うことができたのでしょうか。その答えは、単なる販売台数の多さだけではなく、巨大な規模を背景にした「徹底的なコストカットの仕組み」に隠されています。

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「共通化」が生み出す圧倒的な利益の源泉

トヨタとVWの強さを支えているのは、専門用語で「プラットフォームの共通化」と呼ばれる戦略です。トヨタは「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」という手法を推進しており、これは異なる車種であっても車台(シャーシ)や部品を共通の設計にする仕組みを指します。2019年時点でこの手法は全販売台数の約3割にまで浸透し、車両原価を10%も引き下げるという驚異的な成果を叩き出しました。

一方のVWも「MQB」と呼ばれる共通化戦略で対抗しています。これにより、2019年11月に日本で発売された新型SUV「T-Cross」のように、低価格でありながら上級モデル並みの安全装備を搭載することが可能になりました。私は、この「安くて高品質」という矛盾を解決できる能力こそが、今の時代における最大の武器だと考えます。消費者が財布の紐を固くする不況下こそ、このコストパフォーマンスの差が決定的なシェアの差に繋がるはずです。

岐路に立つ日産連合と、再編を急ぐ欧米勢

一方で、同じく1000万台規模を誇りながら苦戦しているのが、日産自動車・ルノー・三菱自動車の3社連合です。経営陣の混乱が影を落とし、2019年7月〜9月期の日産の純利益は5割減という厳しい着地となりました。せっかくの規模も、協力体制が機能しなければ宝の持ち腐れとなってしまいます。2019年12月01日に就任した内田誠社長が、この冷え込んだ関係をどう修復し、再び利益体質に戻すのかに注目が集まっています。

また、欧米のフィアット・クライスラー(FCA)が仏グループPSAとの経営統合を決断した背景には、次世代技術「CASE」への危機感があります。CASEとは、Connected(接続)、Autonomous(自動運転)、Shared(共有)、Electric(電動化)の頭文字をとった言葉で、これからの車に不可欠な要素です。莫大な開発費が必要なこの領域では、もはや単独での生き残りは不可能です。自動車業界は今、まさに「強者連合」か「淘汰」かという、歴史的な分水嶺に立たされていると言えるでしょう。

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