アメリカを代表する自動車メーカー、フォード・モーターが2019年10月23日に発表した2019年7月9月期の決算内容は、市場に大きな衝撃を与えるものとなりました。同社の同期における純利益は、前年の同じ時期と比べて57%も減少した4億2500万ドル(約460億円)に沈んでいます。歴史ある巨大企業の利益が半分以下にまで削られたという事実は、現在の自動車業界が抱える厳しい局面を如実に物語っているのではないでしょうか。
利益が激減した背景には、世界規模での販売台数の落ち込みが深く関わっています。具体的には、卸売りベースでの販売台数が前年同期から8%も減少しました。特に世界経済を牽引する中国市場や、成熟した欧州市場での苦戦が色濃く反映されており、主要地域でのシェア確保が困難になっている様子が見て取れます。こうした販売の低迷こそが、今回の減益を招いた最大の要因と言えるでしょう。
今回の決算におけるもう一つの注目点は、将来への投資が短期的な足かせとなった側面です。フォードは成長著しいインド市場において、現地の大手メーカーとの合弁事業(複数の企業が出資して新しい会社を設立するビジネス形態)を立ち上げましたが、その初期コストが利益を圧迫する形となりました。攻めの姿勢が裏目に出たとも言えますが、中長期的な生き残りをかけた戦略的な「産みの苦しみ」を味わっている状態なのです。
ネット上のSNSでは「フォードですらこれほど苦戦するのか」といった驚きの声とともに、アメリカ車全体の先行きを不安視する投稿が目立っています。かつて世界の道を支配したビッグスリーの一角が、中国という巨大な壁に跳ね返されている現状に、ファンからは落胆の色も隠せません。しかし、この苦境を乗り越えるための構造改革が果たして功を奏すのか、投資家たちの視線はこれまで以上に鋭くなっています。
編集者としての私見を述べれば、現在のフォードはまさに「変革の嵐」の中にいると感じます。単に車を売るだけのビジネスモデルから、次世代のモビリティ企業へと脱皮しようとする過渡期において、巨額のコスト発生は避けられない宿命かもしれません。ですが、ブランドの象徴であるSUVやピックアップトラックの強みを活かしつつ、いかに効率的な経営へシフトできるかが、名門復活の鍵を握ることは間違いありません。
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