飲食業界の風雲児!「赤から」生みの親・甲羅の鈴木勇一会長が語る「脱皮」し続ける経営哲学と成功の秘訣

外食チェーンがしのぎを削る首都圏において、地方発の企業が驚異的な快進撃を見せています。その代表格が、愛知県豊橋市に本拠を置く株式会社甲羅です。カニ料理専門店「甲羅」や、今や全国区の人気を誇る鍋料理店「赤から」など、30を超える多彩な業態を展開し、店舗数は約380店舗にまで拡大しました。

創業者の鈴木勇一会長は、2019年12月16日時点の取材に対し、「まだまだ世に出したいアイデアがある」と少年のように目を輝かせながら語っています。現在は海外に1店舗を構えるのみですが、チャンスがあれば積極的に世界へ打って出たいという熱意は、74歳という年齢を全く感じさせない力強さに満ちています。

スポンサーリンク

「甲羅」という名に込められた不屈の精神とマネジメントの原点

印象的な社名の由来について、鈴木会長は「カニは食べられても甲羅は残る。会社を永続させたいという願いを込めた」と明かしてくださいました。また、脱皮を繰り返して成長するカニの生態に合わせ、歩みは遅くとも着実に自己変革を遂げたいという思いも込められています。

鈴木会長のキャリアのスタートは、名古屋の喫茶店でのバーテンダーでした。その後、故郷の豊橋でバーの立ち上げを任された際、女性スタッフの採用から勤務管理までを一手に引き受けたそうです。この時の経験が、現在の組織運営における「マネジメント」の血肉となっているのは間違いありません。

1969年の独立前には、材木屋など様々な職を経験されました。特筆すべきは、出会った約1000人もの人々と名刺交換を行い、いつどこで会ったかを詳細に記録したことです。これは現代で言う「CRM(顧客関係管理)」そのものであり、この顧客名簿が独立後の大きな財産となりました。

常識を打ち破る「QSCA」の提唱と100を超える業態開発

飲食業界では一般的に「QSC(品質・サービス・清潔さ)」が重視されますが、鈴木会長はそこに「A(アトモスフィア:雰囲気)」を加えた「QSCA」を提唱しています。店舗に巨大な水車を設置して実際に米を搗くなど、話題性を提供してお客さんを楽しませる姿勢を貫いています。

「おいしさと楽しさの創造」を理念に掲げる会長は、これまでに120から130もの業態を手掛けてきました。中には1日で閉店を決断した店もあったといいますが、その潔い決断力こそが次への成功を呼び込むのでしょう。ネット上でも「赤からの安心感は異常」「メニューが豊富で飽きない」といった、業態の多様性を評価する声が絶えません。

「赤から」が主流となった要因は、調理工程がシンプルな「シンプルオペレーション」にあります。しかし現状に甘んじることなく、少人数利用が増える社会情勢に合わせてロースターを撤去し、レイアウトの柔軟性を高めるなど、常に市場の半歩先を見据えた「脱皮」を検討されています。

人材不足の正体は「教育不足」であるという鋭い視点

深刻化する飲食業界の人手不足に対し、会長は「問題は採用ではなく教育にある」と断言します。現場を回すことと、お客様を満足させることは別物であり、それを管理する中間層の意識改革が必要不可欠です。今後は「信賞必罰」の姿勢を強め、より質の高いサービスを目指す方針です。

2019年10月には長男の雅貴氏に社長の座を譲りましたが、会長としてのバックアップ体制は万全です。私自身、鈴木会長の「顧客を楽しませるために自ら動く」という姿勢に、商売の本質を感じました。豊橋から世界へ、甲羅の進化はこれからも止まることはないでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました